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what's really goin' on down here

風が強いです。

ドイツの政府諮問会議が、経済不況下における減税は効果がないと。
German Experts Criticize Country Over Tax Cuts

By JUDY DEMPSEY
Published: November 13, 2009

BERLIN — The German government drew sharp criticism Friday from its economic council of experts for neglecting the budget deficit and focusing instead on tax cuts, which the experts said would fail to make the economy stronger once it emerges from the worst crisis in decades.
http://www.nytimes.com/2009/11/14/business/global/14gcon.html
減税は、財政赤字を増やすだけだと。返す刀で、一斉に減税に走っている他の国の税制についても非難を。
まあ、そりゃ、そうです、一国だけ増税するわけには行かないから。

相変わらず、流動性の罠についてクルーグマン。
November 13, 2009, 6:53 pm
It’s the stupidity economy

OK, maybe a more polite way to say it is this: bad ideas are acting as serious constraints on policy.
http://krugman.blogs.nytimes.com/2009/11/13/its-the-stupidity-economy/
ここで引いている日本の流動性の罠についてのクルーグマンの論文です。
MITの今は動いていないクルーぐマンのHPからですね。
JAPAN'S TRAP

Paul Krugman
May 1998

Japan's economic malaise is first and foremost a problem for Japan itself. But it also poses problems for others: for troubled Asian economies desperately in need of a locomotive, for Western advocates of free trade whose job is made more difficult by Japanese trade surpluses. Last and surely least - but not negligibly - Japan poses a problem for economists, because this sort of thing isn't supposed to happen. Like most macroeconomists who sometimes step outside the ivory tower, I believe that actual business cycles aren't always real business cycles, that some (most) recessions happen because of a shortfall in aggregate demand. I and most others have tended to assume that such shortfalls can be cured simply by printing more money. Yet Japan now has near-zero short-term interest rates, and the Bank of Japan has lately been expanding its balance sheet at the rate of about 50% per annum - and the economy is still slumping. What's going on?
http://web.mit.edu/krugman/www/japtrap.html


クルーグマンの引用する図はわかりやすい。
November 13, 2009, 3:49 pm
Fiscal perspective

It’s truly amazing, and depressing, how completely deficit-phobia has swept the field in Washington. The economy remains in deeply dire straits: here’s long-term unemployment:
http://krugman.blogs.nytimes.com/2009/11/13/fiscal-perspective/
GDPと財政赤字のグラフで、クルーグマンが話のねたにしているのは当然、アメリカの現状ですが、日本のひどさが際立っています。
# by nk24mdwst | 2009-11-15 13:14 | 租税法(アメリカ)

eat at where you can

今日も雲行きあやし。
休みになると目が早く覚める。ガキですね。まあ、昨日は仕事したんですが。

終日、Dead を聞いていました。ウィンターランドのコンサートから逆に遡る感じで70年代のデッドです。
これもまた、やたらと音源があるので、Europe '72にまではたどり着かない。

10代の頃、デッドは、コピーしました。
いわゆるガット・ギター、それも安物を11歳で買ってもらい、教則本で練習始めました。カルカッシ位までやったんですが、つまらなかった。楽譜見ながらの独習です。
音楽は、全然、違うもの聞いていたのに。

ある日、ボサノバ聞いて、これをやってみようと思って、また楽譜買ってきて。
まあ、一応、オーグメントだのディミニッシュだのというのを覚え、コード・プログレッション、代替コードの理屈もわかりはしたのです。
ただ、10代前半の私の手には、ガット・ギターでジャズ・コードを押さえてちゃんとした速さで弾くのは、厳しかった。
まあ、才能がなかっただけですが。

この頃、映像で、いわゆるギター・ヒーローのみなさんが演奏するのを見て、なんだ小指使わないんだ、なんて思っておりました。
Dylan もAnother Side 辺りまでの曲というのは、レコードで聞いたのは限られていて、その代わり、ほとんどの曲は譜面で覚えてしまいました。

安物のガット・ギターでパープル・ヘイズがやれるかというのが13歳の私の宿題でした。

いわゆる、スチール弦のアコギやエレキを入手したとき、なんて弾きやすいのだと思ったものであります。
ただ、フラット・ピックになれるのに時間がかかり、めんどくさいので、フラット・ピックは使わないことにしました。

ディランは、要するに私が本気で聞こうと思った頃が、例の隠遁時代とかぶっていて、曲は、みな知っているけど、それほどどっぷり浸かったという経験はありません。彼の歌を全部覚えたというのも、単に、ソング・ブックがあったから。

あの頃は、ギターの伴奏譜じゃなくて、コードはついてましたがピアノの伴奏譜のある楽譜集が多かったですね。
まあ、いずれにしろ、ジャズ・コードで挫折してからは、レコードのコピーをするのが主になってしまうのですが、これも、やはり、能力の限界を知ることになるだけではありました。

まあ、なぜか、12歳のときには譜面が読めたので、その後のタブ全盛時代になってからは違和感を覚えていました。

チャーリー・パーカーは、ストラヴィンスキーの「火の鳥」の譜面を持ってマイルスたちの前に現れ、こんな凄い飲みつけたと興奮していたのだそうです。薬をやらずに興奮していたんだからって、マイルス。
ジミヘンの死を知ったマイルスの一言は、くすりのやり方から、女の引っ掛け方まで教えてやったのに、バカっていうものでしたね。

初めてボトル・ネック奏法を聞いたとき、これだって思って真似をしたのですが、ガットギターでボトル・ネックをやるのは実に間抜けなものでありました。
ハウスの唐辛子のビンから、武田のベンザのビンまでためし、結局、ベンザのビンに落ち着きました。
これはちょっと太すぎて、ミュートが難しかったのですが。後年、市販のバーを買ったとき、弾きやすいので驚いた次第。ガラスのバーが個人的には好みです。
音がクリアです。

話は、変わります。

銀行等の中核資本を算定すると気に繰延べ税金資産を計上するかどうかという問題があるのですが、アメリカでは、その計上を厳しくしようとしているようです。
U.S. regulators squeeze banks on future tax assets
Fri Nov 13, 2009 6:31pm EST

By Dan Wilchins

NEW YORK, Nov 13 (Reuters) - U.S. regulators are looking hard at banks' expected future tax benefits and the result for some financial institutions could be more writedowns.
http://www.reuters.com/article/rbssFinancialServicesAndRealEstateNews/idUSN1346377920091113?sp=true
株式公開がされている銀行の繰延税金資産が総額で1,340億ドル、つまり1兆円以上あるというだからひどい。

繰延税金資産(負債)というのは、税効果会計を適用したときにでてきます。
会計上の利益と課税所得を調整するためのもので、基本的には、期間損益の計上基準の違い等、あるいは税法上の特例を会計上に反映させるものです。

繰延税金資産というわけですから、現預金のような資産なのかというのが問題なのですね。
こいつは色んな場合にでては来ますが、主に問題となるのは、税法上繰越欠損金を資産計上するというやつです。
具体的には、今期が赤字で税法上の損失が1,000あるとします。これは繰延ができるので、将来、課税所得1,000が出たときに相殺されます。
仮に法人税率を40%とすると、本来であれば、将来の利益(所得)1,000に対して400の法人税が課税されるわけですが、繰越欠損金があるので、その税金は発生しないのですね。
個々までは税法の理屈なので別に構わないのですが、この将来の法人税負担額予想400を当期に計上するというものです。
赤字を資産計上するのがいいかという話です。
大前提は、そもそも将来の利益が確実なのかなんて話です。要するに不確実な予想を前提とした、資産性のない(つまり評価はできても、第三者に売却不能です)ものを資産計上して資本の一部とすることがいいか。
要するに会計上はこれは認められている手法ではあるのですが、体のいい粉飾そのもので、日本の銀行なんかもこれがあるのですね。
国際会計基準だなんていって。

そのくせ、中小企業がちょっと赤字を出すと金を返せって言ってくるわけです。

まあ、金貸しグループが主導権握って都合のいいように会計や税法、債権法等のルールを作っているからこういうことが起きるのですけどね。
# by nk24mdwst | 2009-11-15 08:12 | 租税法(アメリカ)

train, rain, what's up?

雨ですね。

なんだか11月もバタバタしているうちに終わりそうで、気がついたら、来年になっているような気がします。
もちろん、そこまで生きているというのが大前提ですが。

ファースト・タイム・ホーム・バイヤー・クレジットについての詳報。ポストの記事です。
New tax credit may be worth pouncing on

By Kenneth R. Harney
Saturday, November 14, 2009

Take a close, hard look at the new $6,500 federal tax credit for "move up" home buyers that passed the Senate and House last week. Though it's been getting second billing to the original $8,000 credit for first-time purchasers -- now extended by Congress through June 30 -- the $6,500 credit for current homeowners just might have your name on it.
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/11/12/AR2009111211347.html
上下両院を法案通過後、11月8日に大統領が署名して、この新規住宅取得者に対する年額8,000ドルの税額控除の適用期限は来年の4月30日まで延長されました
さらに、今回’move up'と称していますが、既に住宅を持っている人が新たに主たる居住のように供する住宅を新築、中古を問わず購入した場合、6,500ドルの税額控除を受けられるという制度が新設されました。
こちらが適用されるのは、法律施行日の11月8日から来年の6月30日までにおける住宅の取得です。
新たに、取得者が成年であること等の要件が付加されたわけですが、これらの制度は新たな住宅需要を掘り起こすのでしょうね。80,000ドルの住宅購入する人ってどんな人でしょう。

UBS事件以来、顧客資金の国外流出が続いているロイター電を伝えるタイムズの記事。
Tax Fears Are Causing Client Outflows, Swiss Bank Asserts

By REUTERS
Published: November 10, 2009

ZURICH — Julius Baer Group said Tuesday that an international clampdown on tax evasion had slowed the pace of money flowing in from wealthy clients since the middle of the year.
http://www.nytimes.com/2009/11/11/business/global/11iht-baer.html
各国の銀行が軒並み業績回復をしている中で、唯一の例外がUBSですからね。
この記事のねたは、Interim Management Statement for the first ten months of 2009です。

今朝は、目覚めが速かったので、Dead のThe Closing of The Winterland 4枚組みを聞いています。
この演奏はいいですね。

日本の税調も頻繁に議事録を公開していて、それを検討しないといけないと思いながら雑事に追われ。

Joseph Pechman の1987年のアメリカ、日本、カナダ等の税制を比較した本(Compartive Tax Systemes, Ed. Pechman, J. A.)を引っ張り出してきて読んでいるのですが得るところが多いですね。まあ、引越しのおかげで書棚の奥から出てきたのです。Goode の本(The Individual Income Tax)も出てきたし。
アマゾンで買ったのですが、発行年が古いのでそんなに高くありませんでした。1987年と1975年の本なので。この手の本を飛行機等で移動中に読むというか、持ち出す勇気がありません。無くすのが心配です。
これにVictor Thuronyi 編のTax Law Design and Drafting を読むという時間があればいいのですが。
ペックマン、グードの本はブルッキングズ研究所、テュロニィのやつはIMFから出ています。

マイク・ネスミスのCDも探してもう一度全部聞いて意味ようかなと思いました。あのヨーデルを使うのがテキサス・カントリーの特徴なのですね。

先日、Eddie Hinton を聞いていて、'Donw In Texas' という曲をやっているのに気づきというか、ヒントンが作った曲なんですが、誰かがカヴァーしていたなとずっと考えていて、やっと思い出しました。Hourglass 時代のGreg Allman が歌っていたのでした。
# by nk24mdwst | 2009-11-14 08:10 | 租税法(アメリカ)

later that day

朝は、曇っていたのですが、雨が降ってきましたね。肌寒し。

アメリカの政治情勢と宗教の関係なのですが、1980年代を通じて、ひとつの例外を除いて、あらゆる宗派が、その信徒数を減らしています。例外は、バプティストです。7割近く、信徒を増やしています。
神とは何か、バプティストとは何かなどというのは、この際あまり関係ないのです、というか、わからないのです。

学生時代に見た映画で、南部で牧師が、ミシシッピの支流の川に入り、信者を本当に川の水につけて洗礼を行っているシーンを見ました。文字通りのバプティストってあんなのかなと。
このイメージは、最近の映画では、コーエン兄弟の映画「オー!ブラザー」の中の川のほとりでのシーンに現れていますね。

バプティストの教義と市場原理主義との親和性なのですが、Kevin Phillips によると、バプティストの教義によれば、神はすべての人に平等なれど、すべての人に手を貸すのではなく、信仰に支えられて努力するものの努力の成果としてその結果に報いられるのだと。
これって、規制緩和によって市場原理により競争原理を導入し、そこで得た利益の違いは能力の違いによるものであって、機会均等さえ保証すればいいのだという考えたに通じるというわけです。もちろん、ここで問題となるのは、至上というか競争社会に出るときの出発点、発射台が均等というか公平でないという事実に目をつぶるという点ですね。

ちなみに、ローマ・カソリックの考え方では神の慈悲を実行するために困っている他者を助けよというのがあるのです。それに対して、バプティストの教義にそれはないということです。

だから医療保険制度を国レベルで行うなんていうことは宗教保守から見るとおかしいという論理になるのですね。

ウェブ上に、日本でもアメリカでも、いくつかの設問に答えることによって回答者の思想信条の傾向を表示する、あるいは、支持政党を表示するサイトがあります。
まあ、設問自体が、どう答えるとどういう結論を出すかということがわかっているので、答え方次第で、右から左までどんな結論を導くことも可能です。
アメリカのこの手のサイトで、一連の質問に適当に答えていくことは可能なのですが、教会に通う回数、あるいは、人工妊娠中絶に対する賛否を問う設問が出ると答えに窮するのですね。平均的日本人を前提としない設問なので、当然なのですが、このような設問が思想傾向判断にどう役立つのかというのいまひとつわからなかったのですが、フィリップスの指摘を読んで納得した次第です。

さて、アメリカではファースト・タイム・ホーム・バイヤー・クレジットが延長されました。来年の4月30日までで、8,000ドル。これは、初めて住宅購入をする、又は、過去三年間に自己所有の住宅をもっていなかった人が対象です。
これに、新たに6,500ドルの税額控除が新設され、これは、既に住宅を持っている人が新たに主たる教授用不動産を購入した場合に適用されるということのようです。
また、制度が複雑になりましたね。

不動産価格等の指数をそこを撃ったように見えるアメリカですが、景気は底打ちをしたように見えるものの失業率の増加に歯止めがかかっていないのですね。
Obama calls for White House summit on job creation

By Michael A. Fletcher and Neil Irwin
Washington Post Staff Writers
Friday, November 13, 2009

President Obama plans to hold a White House forum on job creation next month, an attempt to signal his concern about the growing ranks of the unemployed and build consensus on future action to stoke the economy.
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/11/12/AR2009111210563.html
失業給付の期間延長その他新たな背策を打ち出さないと、もう、来年は中間選挙ですからね。
2月の経済対策は、少なくとも雇用の減少を止めることには失敗していますから。

収財政は好転の兆しを見せず、悪化するばかりですね。
Report: 10 States Face Looming Budget Disasters

By THE ASSOCIATED PRESS
Published: November 11, 2009

Filed at 9:22 p.m. ET

SACRAMENTO, Calif. (AP) -- In Arizona, the budget has grown so gloomy that lawmakers are considering mortgaging Capitol buildings. In Michigan, state officials dealing with the nation's highest unemployment rate are slashing spending on schools and health care.
カリフォルニア、アリゾナ、フロリダ、イリノイ、ミシガン、ネヴァダ、ニュー・ジャージー、オレゴン、ロード・アイランドが危機的状態、ウィスコンシンも二桁の割合の財政赤字になりそうだというわけです。

政府内の意見の対立ですね。
White House says open to using TARP to ease debt
Thu Nov 12, 2009 4:29pm EST

By Andy Sullivan

WASHINGTON (Reuters) - The Obama administration is weighing how a $700 billion financial rescue fund could be used to ease the U.S. debt burden, the White House budget director said on Thursday, as data showed the deficit had deepened.
http://www.reuters.com/article/politicsNews/idUSTRE5AB4ZV20091112?sp=true

金融危機の一年目、つまり、昨年ブッシュ政権下で金融安定化法(The Troubled Asset Relief Program (TARP) )が立法化され、7,000億ドルの政府資金投入枠が設けられ、大手金融機関に税金が投入されました。
これの残高が、まだ2,100億ドルあるのだそうで、これを、家計や中小企業に投入して景気を刺激するということを連邦予算管理局が提案しています。
これに対し、財務省は、大きな歳入欠陥が生じているので、その穴埋めに使いたいという意向なのですね。

Gov't Muleの新作は、まあ、別に悪い出来ではないと思いますが、昔のハード・ロックに先祖がえりしたみたいな感じでインパクトがないです。ウォーレン・へインズも消耗気味。
前に本質はハード・ロックだと書いた気がするのですが、こんなストリート・ハード・ロックをやられると鼻白みます。

というわけで、きょうは、マイク・ネスミスを聞いています。

ゆうべは、まあ、一昨日と同じものを聞いたのですが、二曲目を覚えていないので。
# by nk24mdwst | 2009-11-13 13:09 | 租税法(アメリカ)

talkin' 'bout everyday people

雨が少し、ぱらつきましたが、まあ、昨日よりはましな天気でした。

現代資本主義国家は、シュンペーターがいうように租税国家であるというわけで、税を語ることは、すなわち、国を語ることであるのです。北野先生の受売りです。

まあ、いずれにしろ、税金を論じるときには、現在の制度を所与のものとして、個別の事例をどうするかという問題もあります。租税訴訟について考えるときは、基本的にこれですよね。訴訟で負けているのに、これは制度がおかしいといっても始まらない。

あるべき制度を論じるとすれば、当然に、論者の生活体験、背景、経済に対する考え方、はたまた国家感、あるいは、税務行政手続論だけではなく、組織論にまで発展するわけです。
ここで、比較法的な考え方をどう取り入れるかという点が問題です。
結局、かなりの国が同じような租税制度を採っているわけです。具体的には、所得課税と付加価値税や固定資産税は普遍的に存在する税です。
また、手続的には、申告納税制度が多くの国で採用されるようになって来ましたし、源泉徴収制度自体は、日本に特別なものであるわけではありません。
番号制度についても、色んな形がありますが、かなりの国で用いられています。ただし、番号制度の導入がどの程度適正課税、適正納税に資しているかなんて研究は、寡聞にして知りませんが。

番号制度について、一番、拒否反応が強いのは、ドイツですね。ナチの記憶が強いのです。

番号制度に対して原理主義的に反対はしませんが、番号制度を入れないと透明な租税制度ができないなんていうのは幻想です。ただし、アメリカでは、これまで課税の網からもれていた現金取引の個人事業者に対して個人所得課税を強化するための番号導入を新たに定めたという点は、注目しておくべきでしょう。
*今年の税制改正の中の、隠れた目玉だと思っています。

税務調査を巡る手続について言えば、事前通知をしないでガサ入れをするなんていうのは、犯則事件、つまり刑事訴追を前提としたもの以外においてそんなことを認めている先進国は日本だけです。

先日、リースや、ノン・リコース・ローンのことを調べていて、英米法における債権法の知識がまったくないことに気がつきました。
アメリカの債権法における例外的存在としての内国歳入法典における徴収規定が存在するのだということにやっと気がつきました。リーエンのことです。
リーエンの意義について、日本の国税徴収法(民法の債権法の延長線上にあります)の知識を前提に理解しようと思っても駄目なのだとわかりました。

ただ、そもそも、アメリカの法律もわからないし、国税徴収法自体もよくわかっていないことを認めた上で、です。

アメリカの債権法の原則を最低限、勉強しないと具体的なことは書けないので。

税法は、法律なのかなんて議論があって、法律だ、社会科学の一分野だとおっしゃる北野弘久先生の気持ちもわかりますし、税務会計学公準が存在すると主張される富岡先生の気持ちもよくわかります。でも、所詮、税法は、行政法の変種です。
国民の財産権にかかわる、あるいは租税国家の根幹をなす法律でありながらその立案と解釈はすべて、特定の官僚組織の手にゆだねられてきたのはこの国の歴史における真実です。
財政に直結する法律であるという切り札を使うのは、実は他の国でも同様で、アメリカやオーストラリア、カナダ等においても、税法は特殊な位置づけを与えられています。

議員立法の国であるアメリカと議院内閣制のオーストラリアとは、当然違いますし、日本も違うのですが、租税関連法案の立案、立法、施行ということに関しては、行政組織、つまり、税務当局の意向、あるいは、財政当局の意向が優先するのですね。
ただ、どうもこの一般則の例外であったのが、ブッシュ政権時代のアメリカであったように思えます。クローにー・キャピタリズムは、身内だけの不当な利得を生じさせるわけですが、究極的にはそれらに対する課税会費立法にまで及んだというのがブッシュのアメリカですね。
最大の公共投資である、戦争を行い、それらは、特定の人たちの石油利権等と密接に結びつき、さらにそれによって得られる利益も上位のごく一部に集中させただけではなく、それに対する大幅な減税措置を行った当然の帰結としての膨大な財政赤字ということなのだと思います。


この税法を系統立てて学問仕立てのものとして、それも、精緻な官僚法学としてでっち上げることに成功したのが金子宏という人なんでしょう。
行政法論全般について、この国では、その立案、立法、解釈のすべてに通暁しているのは霞ヶ関なのですね。そのための訓練を受けていますから。東大法学部の位置づけはそういう観点から見るべきなのだと思います。

私は、個人的には、「べき」論として論ずるときは別として、所詮、ツールなのだと割り切っていますが。

だから、解釈なのか事実認定なのかなどという点について、あるいは、手続き上の問題なのか実態芳情の問題なのか名度と、法に値しないと私には思える税法の議論において、大上段に振りかぶる人と私の議論は、かみ合いません。

それから、税法は実に多用な借用概念を用いている癖に、都合が悪くなると、勝手に民法等の私法上で認められている方形式を無視するということをやります。
まあ、こういうことをすることを認めるかという問題ですが、実務的な解釈や訴訟においてそれを行うのは、やはり、反則でしかないと考えています。実定法に、きちんと明文の定めをおくのが法治国家というものでしょう。

しかし、今の政府税調の議論って結局、摺合せなしに主税局の言い分が通り、予算編成では主計局の言い分が通る、財務省復権のサイクルのように思えます。

日本のキャリア官僚純粋培養システムがいいのか(フランスも似ていますが)、アメリカの回転ドアシステムで人の入れ替えがあるほうがいいのか。
アメリカでは、租税に関して、課税当局、財務省や議会での政策立案、あるいは企業の財務部門、さらには司法における弁護士ないし検事、それと大学での教鞭をとるといったことを繰り返しながら、能力のある人が選抜されていくように見えます。
一見、確かにそうした形で選抜されているのは事実だと思うのですが、そもそもそのサイクルに入り、その中にい続けるということ自体が特権なのではないかという気もします。

ただ、日米交渉なんかのときには、純粋培養組は、娑婆の泥水を知っている、あちらさんの言い分に言い負かされるのでしょうね。というか、そもそも、まともに議論して甲乙つけるというタイプの人間は、キャリア・システムでは生き残れないのだと思いますし。

今、思い出しました。本当は、きょう、考えてみたいと思ったこと。
アメリカのキリスト教原理主義というか宗教右翼というか、具体的には南部のバプティストの教義と史上原理主義の親和性の問題を考えないとと思ったわけです。
これ、さかのぼると、結局、プロテスタントと資本主義、おいおい、ウェーバーかい、ですし、そもそも、オランダってどういう位置づけなのか。
17世紀の西欧の歴史の根っこを考えるという話なんですが。

Gov't Mule の新作よりは、40年前のPeter Green の方がまだいいですね。ウォーレン・へインズもにつまり気味。
# by nk24mdwst | 2009-11-12 18:13 | 租税法(日本)