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2008年 11月 13日 ( 1 )

helicopter money

今日は秋晴れ、良い天気で山がきれいでした。しかし、世間の風は、ですね。

軽飛行機やヘリコプターからまかれたビラを追いかけた記憶がおぼろげながらあります。
かの、馬鹿げた「定額給付金」もヘリコプターで撒けばよいのに、と思うほどです。

このような給付金がどの程度の景気浮揚効果を持つかどうかについて判断するだけの知見はないので、景気浮揚効果は、無しとはいえないということにしておきます。
新聞等でも将来の消費税の値上げとセットなので、朝三暮四の話をたとえに出して、国民を愚弄するなといっていますね。

戦略的にいってもいわゆる戦力の逐次投入、それも場当たり的な投入は犠牲多くして効果なしです。経済政策として税金を投入するのだとしたら、ばら撒くのではなく、将来の資本として残るところに集中的に投入すべきかなと思いますね。
必要な道路や橋梁の補修をする、学校や病院の施設をよくする、それより何より後期高齢者医療制度その他の社会保障政策に関する予算削減などという棄民政策を止める方がましだと思いますね。

近い将来の消費税の値上げについて首相は言明しています。各種審議会等の答申も財政健全化ないし社会保障財源としての消費税の税率引き上げは不可欠だというキャンペーンを打っています。
この消費税のある程度の引上げに関しては仕方がないというムード自体は国民にあるのかな。

少し技術的な話をします。現在の消費税率は4%です。
消費税法29条(税率)が、「消費税の税率は、100分の四とする。」と規定しているわけす。では5%がどこから出てくるかということですね。
地方税法72条の83(地方消費税の税率)に「地方消費税の税率は、百分の二十五とする。」とありまして、4%×25%=1%となるわけです。
ですから、消費税法が改正され消費税率が引き上げられたときにこれらの規定はできたわけですが、現在一般に消費税と呼ばれているものは正しくは、消費税及び地方消費税であり、その申告、納付、調査等は国、つまり税務署が受付、行うわけですけれど、国税4%+地方消費税1%=5%ということになっています。

社会保障審議会等や税調の答申等は慎重に読まなければならないと思うわけですけれど、例えば国が行う社会保障、つまり公的年金制度の財源としての消費税、あるいは、国の財政を均衡させるための財源としての消費税としてカウントされるのは5%ではなく、現在で言えば4%であるということになります。
一般に、消費税及び地方消費税に関しては税率1%が2.5兆円と言われていますが、財源見通しと引上げ税率に関して論じられているときは、それが政府の財政の話なのか地方自治体財政の話なのか区別してみる必要があるのだと思います。

新聞記事を注意して読んでみると、記者が意識しているかどうかは別にして財務省等が用意するペーパーはこのあたりをきちんと区別して用いているように感じます。

ですから、将来の社会保障財源として消費税の二桁税率が必要だと税制素人の政治家がいっているときはともかく、役所がいうときには、国税としての消費税が二桁になるという意味で使っているはずです。
ですから、仮にどこかで二桁(10~99までありますが)、例えば10%の消費税にしないと国家税制の均衡ないし社会保障財源が不足するというときには、現行地方税法のままだという前提をおくと、10%+10%×25%=12.5%の消費税及び地方消費税になるということです。

もちろん、8%+2%=10%からはじめるという手を考えているかもしれませんが。

それから、国際的な法人税率の引下げ競争と言うのがあって日本の法人実効税率が高いという議論を経団連を直ぐ持ち出します。
これが事実かどうかということ自体を検証しなければならないのですが、例えば法人事業税の一部に付加価値割が導入されていますが、この法人事業税を全廃すると法人税の実効税率は自動的に下がります。

財源が当然必要となるわけですが、現在25%である地方消費税の譲渡割の税率を引き上げて法人事業税の穴埋めをするという手段を取ることも可能です。

さらに、地方自治体の自主財源論が不足しているのは事実ですから、国税である消費税率の問題とは別に譲渡割の税率を引上げ、地方財政の健全化を計るという議論も成り立ちえます。

消費税率10%、譲渡割50%にしてしまえば、消費税及び地方消費税の税率は合計で15%になって一挙にEU諸国並みになります。同様の社会保障をやって欲しいものですけどね。

例によって脇道が長かったです。今日は、所得制限について書こうと思ったのです。
所得とは何かということですね。
新聞等によると、自営業者は総収入金額から必要経費を引いた金額、給与所得者は給与所得控除後の金額、確定申告をした人は所得の金額の合計になるなんて能天気なことを書いています。
この確定申告をした人と言うのは、年金所得者を考えているのかと思います。公的年金等を控除しその他の所得を合算した金額というあたりなんでしょうね。
このあたりの数字であれば、確かに市町村で把握できます。というか市町村でしか把握できないと言うべきでしょう。

ここでいう所得に関して一律に論じることができるかどうかというような問題が存在します。
ただ、上記の書き方だと、自営業者等の場合は、青色専従者給与や青色申告特別控除等を引く前の所謂特前所得をいうことになるのだと思います。

土地等の不動産を譲渡して所得があった人は、つまりプラスだった人は、これも確定申告することになるのでわかります。しかし、上場株式の譲渡等に関して特定口座を用いて源泉課税で終わっている人はどうなるのか。
あるいは、利子所得等の源泉分離課税で適法に課税はされているものの所得そのものの把握ができない人に関してはどうなのか。

だから納税者番号制度が必要なんだなんて馬鹿げた戯言にだまされてはいけません。

英語でincomeを通常所得と訳します。しかし、この場合、気をつけなければいけないのは、net income かgross income なのかという点です。前者は純額(正味ですね。)、後者は総額(経費等を差引く前)ということです。

このincome に対する誤解はおそらく平均的な財政学者にもあってimputed income (帰属所得)について論じるときに過大にそれを見積もるということをしているように感じます。

昨日は音楽を全く聞かずに寝てしまいました。今日は、Peter Green のアンソロジーを聞いてますが。

さて、かつて、GMの利益はアメリカの利益だという時代があったのですが、とんでもないことになっているようですね。
G.M.’s Troubles Stir Question of Bankruptcy vs. a Bailout
By MICHELINE MAYNARD
Published: November 12, 2008

DETROIT — Momentum is building in Washington for a rescue package for the auto industry to head off a possible bankruptcy filing by General Motors, which is rapidly running low on cash.
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Although G.M.’s labor contracts would be at risk of termination in a bankruptcy, setting up a potential confrontation with its unions, the company says its pension obligations are largely financed for its 479,000 retirees and their spouses.
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A bankruptcy filing by a single Detroit car company could cost the economy $175 billion in the first year of the legal case in lost employee income and tax revenue, the Center for Automotive Research estimated this week. Given the complexity, a G.M. bankruptcy case could last three years or more.
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There are parallels between the Lehman bankruptcy and G.M.’s situation. In each case, the government was faced with deciding whether it was worth favoring one entity over its competitors as it worried about the impact on the broader economy of a potential collapse.
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But the United Automobile Workers union, which has joined the automakers to push for a bailout, might find grounds for a strike if a bankrupt G.M. asked a court to throw out its labor contracts.

A bankruptcy also could jeopardize the fate of a health care fund created in 2007 that was supposed to shift a $100 billion burden off the companies’ backs. The U.A.W. recently agreed to let G.M. delay payments to the fund.
http://www.nytimes.com/2008/11/13/business/economy/13bankruptcy.html?partner=permalink&exprod=permalink
GMは、この1年で株価が90%以上下落し、現状では連邦破産法11条を申請するか(民事再生)、政府が全面的に支援するかどうか、どちらのコストが小さいかという議論のレベルのようです。
GMが破綻すると、現在の従業員、下請の部品メーカーに対する打撃だけではなく、479,000人のGM退職者とその配偶者の年金・医療保険も消えてしまいます。

トヨタは適当に政府の援助を利用してカンバン方式と証する下請いじめをして勝ち残った顔をしていますが、GMやフォードのようなアメリカの伝統的な大企業はその退職者の年金や医療保険まで面倒を見ているのです。それがアメリカの自助努力だということができます。

組合は法廷闘争も辞さないといっているようですが。

いずれにしろ、既にアメリカの中流層が崩壊しつつあるのに、GMやフォードが破綻するとアメリカの中間層そのもの、それも中間層の上のほうの人自体が消えるということになります。

リーマン・ブラザーズの破綻前の状況と非常に良く似ています。リーマンを破綻させたのは明らかに金融システム不安を世界的に広めてしまったという点で大きな失敗だったと思います。今度GMを破綻させると実体経済で世界一の規模の会社を破綻させるということに他ならないような気がします。

シュンペーター流の創造的破壊論で解決する問題なのでしょうか。

創造的破壊論を言うのなら、産業革命以後の現在の文明システム全体が創造的破壊を受ける時期に来たということでしょう。

日本のヘリコプター・マネー、アメリカにおけるGM支援、どちらも元手は税金です。その意味でそれらの負担をすることが正しい選択なのかどうかというのは有権者、納税者の権利であるのは間違いありません。

経済学は、所与の前提をおいた理論を展開すればよいので気楽なものですよね。
自分の理論に都合の悪い発見を誤りだとする考古学や進化論と似たようなものかな。

今日のアメリカは明日の日本、今日のGMは、明日のトヨタ、日産か・・・
by nk24mdwst | 2008-11-13 17:36 | その他