2008年 01月 09日 ( 1 )

Taxpayers' Bill Of Rights III-4

何より、疲れていて税金の話の方が楽なので、性懲りもなく、アメリカの第三次納税者権利憲章、Taxpayer Bill Of Rights III の話です。

本来は、そもそも論で、第一次のところあたりの話とNational Taxpayer Union 、全米納税者連盟の話を絡めて始めるべきなのですが、これも、ネタが尽きたときのために取っておくことに。

冒頭部分から検討します。
Declaration of Taxpayer Rights

納税者権利宣言というわけですね。大上段に振りかぶってます。
I. Protection of Your Rights

IRS employees will explain and protect your rights as a taxpayer throughout your contact with us.

Ⅰは、「納税者の権利保護」というタイトルです。IRS職員に、納税者が接触するときは常に納税者の権利について説明しかつ保護をすることを求めています。これを怠ると、一発退場です。
II. Privacy and Confidentiality

The IRS will not disclose to anyone the information you give us, except as authorized by law. You have the right to know why we are asking you for information, how we will use it, and what happens if you do not provide requested information.

Ⅱは、プライバシーと守秘義務ですね。
IRSは納税者から得た情報を、原則として誰にも漏らさないこと、納税者には情報提供を求められていることの理由と使用目的を知る権利があること、さらに、情報提供を怠った場合に納税者がどうなるかについて説明しなければならないとしています。
日本では、国家公務員の守秘義務の一言で片付けちゃいますが。

日本と同様アメリカにおける税務調査も、原則は、任意調査なのですが、一定の手続を経て強制力のあるものに変わります。Summons が関係してくる話ですが、サモンズについても暇なときに検討することに。
*暇なときはのんびりザッパ論をやる、疲れたとき、忙しいときアメリカ租税手続法論をやるというスタンスでした。
III. Professional and Courteous Service

If you believe that an IRS employee has not treated you in a professional manner, you should tell that employee's supervisor. If the supervisor's response is not satisfactory, you should write to your IRS District Director or Service Center Director.

Ⅲは、専門家らしくかつ礼儀正しいサービスの提供というわけです。
IRS職員の態度が気に入らないときは、上司に言え、それでも駄目ならサービス・センターに文書で知らせてねって。
逆に、きちんと専門家教育するよって宣言しているととらえることも可能かもしれないです。
IV. Representation

You may either represent yourself, or with proper written authorization, have someone else represent you in your place. Your representative must be a person allowed to practice before the IRS, such as an attorney, certified public accountant, or enrolled agent. If you are in an interview and ask to consult such a person, then we must stop and reschedule the interview in most cases.
You can have someone accompany you at an interview. You may make sound recordings of any meetings with our examination, appeal, or collection personnel, provided you tell us in writing 10 days before the
meeting
.
Ⅳは、税務調査における代理権です。
アメリカでは、日本と違い申告書オ作成業務は、特に資格を有さない人、業者でも行えます。調査時の代理権に関しては、弁護士、公認会計士、登録代理人(enrolled agent)のようにIRSに対して権限を行使する業務を行う資格のある人についてのみ認められるとしています。当然のことですが、代理人を立てなくても良いのですが、逆に、正式の委任状によって有資格者に委任した場合は、納税者本人がいなくても構いません。
また、当初、本人だけで調査を受けていた場合であっても、途中で代理人となる資格のある人に相談したいときは、その意思表示をすれば、そこで調査はいったん中止し、日程の再調整をたいていの場合は行うことができるといっています。

日本では税務調査時における税理士以外の第三者の立会いの問題が大きな問題となっていて、是非は別にして、基本的にはだめだという最高裁の決定が生きています。アメリカにおいては、単なる立会いは、誰でも良いとされています。それから、調査、不服申立て、徴収手続に関しても10日前までに書面で申し出れば録音しても良いと録音権を認めています。

申告書の作成と調査における単なる立会い、それと、代理権を区別して論じています。

日本では有資格者、つまり、税理士ですが、税理士は、その資格を持って申告書の作成、提出の代理をし、調査に立ち会うことができるとされています。

*公認会計士、弁護士は、税理士登録をすることにより税理士業務を行うことができます。

ここでいう税務代理の意義ですが、一般の民法上の代理のように納税者本人に成り代わり、権限を委任されているわけではないと通常理解されています。
弁護士は、通常の民事事案においては民法上の代理人ですが、税理士として税務代理権限を行使するときにおいては、民法上の代理人とは異なるということでもあります。
租税訴訟ということになると、税理士は、税理士法上の補佐人、あるいは、裁判所が認めるときは民法上の補佐人になることができるだけですが、弁護士は当然、納税者の代理人をつとめることができます。

なお、アメリカにおいて登録代理人は、一定の資格試験に合格した場合においては、租税訴訟における代理人となることができます。非常にかずは、かぎられていると理解しておいて構わないと思います。

それから、録音権があること自体に重要性を見出すかどうかという問題はありますが、日本なら、録音するなんて発言したとたん調査拒否だって話に結び付けられかねません。

当然のことなので書いてないのですが、10日前までに通知ができるということは、大前提として無予告の現況調査などというものはないというとなのですね。その手のことをやれるのは、Ciriminal Investigation 部門が行うものあたりに限定されているわけです。

令状もなしに、仮にIRSだとしても、いきなりドアを開けて入ってきたら、銃で撃たれても納税者の正当防衛が認められるでしょう。逆に、Internal Revenue Manualには、防弾チョッキやサブ・マシンガンまでを含んだ銃器取扱いについても細かく規定されていたりするのですが。

Internal Revenue Manualについては、
http://www.irs.gov/irm/index.html
興味のある方は、こちらをご覧下さい。
V. Payment of Only The Correct Amount of Tax

You are responsible for paying only the correct amount of tax due under the law--no more, no less. If you cannot pay all of your tax when it is due, you may be able to make monthly installment payments.

Ⅴは、適正納税についてです。
納税者は、法に基づき過不足なく納税する義務があるといっていますね。さらに、納期限までに完納することができないときは、月々の分割払いも可能だと。
VI. Help With Unresolved Tax Problems

The National Taxpayer Advocate's Problem Resolution Program can help you if you have tried unsuccessfully to resolve a problem with the IRS. Your local Taxpayer Advocate can offer you special help if you have a significant hardship as a result of a tax problem.
For more information call 1-877-777-4778 (1-800-829-4059 for TTY/TDD users) or write to the Taxpayer Advocate at the IRS office that last contacted you.

Ⅵは、税金に関する問題が生じたときの解決に対する支援についてです。
The National Taxpayer Advocateすなわち全米納税者擁護官の問題解決処理プログラムを利用してIRSとの問題解決の支援を求めることができ、具体的に、連絡すべき無料電話番号まで明示しています。

全米納税者擁護官というのは、1998年改正法で新たに設置された地位です。1988年のTBORⅠ制定時にTaxpayer Advocate がそれまでの税務オンブズマンに代わってできたのですが、少なからず、問題点があり、全米納税者擁護官が設置され、その下に地域納税者擁護官がいる組織になりました。

納税者擁護官は、納税者が税務問題を理由として著しい困難な状況にあるとき(a significant hardship as a result of a tax problem)と認めるときは、納税者救済命令(Taxpayer Assistance Order; TAO)を出してIRSの執行処分等を停止させることができることになっています。

納税者権利憲章の改訂の過程、それと併せて、納税者擁護官制度の制定、権限の強化、さらに、納税者救済命令、市民擁護会議等については、個別に項を改めて検討します。

ちなみに、日本には、税務相談官の延長上の職というと言い過ぎでしょうが、納税者支援調整官という官職が大規模税務署には設置されています。
この官職が実際に果たしている役割等については、存在自体が余り知られていない上、その活動の実際については、あまり公表されていないようです。

続く
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by nk24mdwst | 2008-01-09 15:04 | 租税法(アメリカ)