Frank Zappa の入門ディスコグラフィなんて誰も必要としないことを知りつつ独断と偏見で勝手に。
Loumy Gravy (1967) ,Cruising With Ruben & The Jets (1968) , Uncle Meat (1969) の三つを上げてみます。 Cruising は、一般にドゥーアップないしそのパロディと捉えられていますし、他の二つはThe Mothers Of Invention 初期の5作の中でももっともアヴァン・ギャルド・クラシック、ミュージック・コンクレート色の強いものです。 ザッパ・フリークの中でもこれらは、Uncle Meat を除くとあまり大きく評価されていないというか、どう位置づけるかが難しいので無視されていることが多いようです。 私も良くわからんのですが、完全歌物のCruising , 歌物の性格が非常に薄い他の二作は、言葉の障害を超えるのには適しているのかなと。Uncle Meat はたっぷりおしゃべりが入ってますけれど、CDの場合は。 要するにこの3作は、一番とっつきにくい、ゆえに、他のものを聞きたくなくなる人が多いはず、つまり、無駄な金と時間を費やす人が減るということを目的に選んだわけです。 これは、1960年台のFZが一番よいということが前提となった選び方です。 最晩年に近づくほど円熟するという考え方もあるので、その場合は、最後の物を選ぶことになるのかもしれません。 Broadway The Hard Way (1988) あたりですね。当時のラインナップは非常に優秀なミュージシャンをそろえているのでその頃のライブ・ヴァージョンとしては The Best Band You Never Heard In Your Life (1991, 2cd) Make A Jazz Noise Here (1991, 2cd) というところでしょうか。 1970年代後半、Terry Bozzio が加わった頃からFZを取り巻く経済的環境は一変し、レコードは売れ、コンサート・チケット完売なんて状況になります。 結果として1980年代は、優秀なミュージシャンを集めて演奏、録音することをFZに可能とさせます。 1960年代のバンドなら、テープ編集が必要だったようなことがライブでそれもフレキシブルに行うことが可能になるわけです。 私は、FZの同時代性ゆえ、1970年だ後半にレゲェ、ディスコに超絶技巧ハード・ロックをミックスしたライブ演奏に観客が熱狂するころ(DVDのBabv Snakesがその様子を活写しています。)、FZから離れることになりました。 何で戻ってきたのかな。 DVDでベイビー・スネイクスを入手したのは、つい先年のことですけど。 Terry Bozzio は、海パン一丁で汗を振り絞り、Adrian Belew は、スカート姿で歌わされるし、Roy Estrada も闖入、タバコをくゆらすFZ。 よくわからないのが、お前ら馬鹿だっていわれているのに熱狂してみている観客たちの心の中。 ところで、Amzon.com とFZを売れてる順に並べてみました。 1.Apostrophe (')、2.Over-Nite Sensation、3.Joe's Garage: Acts I, II & III、4.Imaginary Diseases、5.One Size Fits All、6.Hot Rats、 7.Trance-Fusion、8.Sheik Yerbouti、9.We're Only in It for the Money、10.Roxy & Elsewhere アメリカでは4、7といった近年発売されたライブ盤が入ってます。あとは、まあ一般的な好みを反映しているというか、オリジナル・マザーズ時代のものは、9しかなくて基本的には70年代のFZが売れてますね。Hot Rats は、1969年のものですがIan Underwood が全面的に参加している以外、基本的には、FZのソロです。 1970年代に入ってからのFZの音楽の方向性を示しているという位置づけでしょうか。ジャズ・ロック・フュージョンのさきがけ的な位置づけをすることもできます。 後も近年発売のものも含めて70年代のマザーズ、FZですね。 Amazon.UKの方はというと次のとおり。 1.Joe's Garage Act I-III、2.The Best of Frank Zappa、3.Hot Rats、4.One Size Fits All、5.Apostrophe(’)、6.Shut Up 'n Play Yer Guitar、 7.Burnt Weeny Sandwich、8.Bongo Fury、9.Lumpy Gravy、 10.Overnite Sensation こちらは、Lumpy Gravyがありますね。Burnt Weeny Sandwich は、1970年、オリジナル・マザーズが1969年10月に最初に正式解散したあと出たもので、中身は、1967~1969年にかけてのオリジナル・マザーズによるライブ、スタジオ録音をFZがカット・アンド・ペースト+テープ加工したもので、今振り返ると、60年代マザーズの演奏のインデックス的な側面があります。楽曲、編集に凝っているのも事実ですが、ドゥーアップのオリジナルを冒頭と最後に持ってきているという特徴があります。 それ以外は、基本的には70年代のジャズ・ロック・マザーズ。6は、FZのギター・ソロだけを抜き出したものですけど、当座の資金繰りのために通信販売したものがこう売れるとは、です。 しかして、日本ではというと、以下のとおり。 1.ワン・サイズ・フィッツ・オール、2.One Size Fits All、3.Hot Rats、4. Trance-Fusion、5.Roxy & Elsewhere、6.Waka/Jawaka、7.Imaginary Diseases、8. Zappa in New York、9. Freak Out!、10.Uncle Meat、11. Shut Up 'N Play Yer Guitar 1と2は同じものなので、11まで入れました。9とか10が入っているというのは、日本人はやっぱり真面目なんだ。でも、やっぱり、70年代のジャズ・ロック・マザーズが好みなのですね。 独学自習の人FZですが、1960年代のオリジナル・マザーズ時代の脇を固めていたのは、1960年代初めからR&B、R&R、Blues をやっていたRay Collins, Roy Estrada, Jimmy Carl Black というバー・バンドあがりの連中とIan Underwood, Don Preston, Art Tripp, Bunk Gardner といった正規の音楽教育を受け、クラシックないしジャズ等で経験を積んだ連中だったわけです。 まあ、この頃のアイディアを後年、何度も発展させているので、オリジナル・マザーズの連中としては、全てFZのアイディアじゃないっていいたいのは、よくわかります。 1970年代のバンドは、Aynsley Dunbar, Ralph Humphrey、Chester Thompsonに始まり、Terry Bozzio,Vinnie Colaiutaがドラマーです。前半はプロフェッショナル、後半は無名の若手で順応性の高いテクニシャンかつ音楽教育を受けている二人になります。 70年代のMothers ないし、FZのバンドの音楽を特徴づけているのはRuth Underwood のパーカッションでもあります。だから、DVDのDub Room Special は、個人的には気に入っているのです。 このあたりの音が、やっぱりみんな好きなのだと再確認してしまいました。 つまり、George DukeやNapoleon Murphy Brock が加わったジャズ・ファンク風のやつ、ないしは、Steve Vai、とかWarren Cuccurulloが加わったディスコ・レゲェ・ジャズ・ファンク・ハード・ロックあたりが。 ドラムの音が気に入っているわけではないのです。機械みたいだからあまり好きじゃないのです、ドラミング自体も。Chad Wackerman のことです。 ただ、80年代のFZのハウス・ドラマーは彼です。 80年代のFZの音楽については、DVDのDoes Humor Belong In Music を最初見たときにくだらないと思ったのですが、アンドロイド・ドラマーとアンドロイド・ベーシスト、Scott Thunes のことですが、彼らの音に慣れると、違う風景が見えてきます。 非常に複雑なアレンジの曲を軽々とやって見せているのですが、そんなことは無視して、ヴォーカル・グループだと考えて聞くようになっていたわけです。 FZは、歌詞がなければロックは売れないから歌詞をつけてるんだなんていってますが、ポップでわかりやすい曲には必ずシリアスな歌詞を振っています。 そりゃそうですよ、やたらとテンポやリズムが変わり転調し、コラージュまでされた楽曲にシリアスな詞を付けられた日には、誰が聞くもんですか。
by nk24mdwst
| 2008-05-02 16:24
| 音楽
|
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