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the concentration camp

 以下は、1998年6月8日、ケベック州税庁において、担当者のMs.エレ-ナ・クロチアッティによるケベック州売上税に関する説明の全訳である。

ケベック州の 消 費 課 税 制 度
 
第1部  歴史的展望
 
1. 連邦政府と各州政府の関係
 
 一般に1867年憲法と呼ばれる1867年の北米英国領法の第92条2項は、各北米英国植民地(州)の立法議会が、植民地(州)内で「各植民地(州)の目的に適う歳入を調達するための州内の直接税」に関する法を起草する責任を負うとしている。
 連邦政府に関しては、1867年憲法の第91条3項で「課税に際し、あらゆる方法あるいは制度を用いて徴税を行う」ことに関する独占的決定権を与えており、そこには間接税同様、直接税も含まれている。
 従って、連邦政府には直接税及び間接税を含む、課税に関する無制限の権限があったということになる。
 一方、州立法議会の権限は州の領土及び目的の範囲内における直接税の課税権に制限されていた。
 直接税と間接税の違いを正確に言うと何なのか 。
 他者の負担によって納税することを意図し期待する間接税に対し、直接税とは、所得税や土地税のように負担する当人に課税されるものをいう。
 つまり、間接税とはある者に課せられるが、その者は第三者と取引する際にその税を回収するというものである。
 
1.2歴史的展望
 
連邦政府の売上税
 
 1924年に導入された売上税は、導入以後何度も改定を繰り返されてきた。
 最初にその制度が施行されたとき、連邦の小売売上税は、カナダ製物品の製造者の価格に賦課されていた。
 輸入された物品の関税額が、連邦税率が課される課税ベースになった。
 この売上税は複数税率を持ち、通常は13.5%だったが一定の目的税もあり、建設資材には9%の税率が適用されていた。
 この税金には重大な構造上の欠陥があった。カナダで購入される物品とサービスのわずか3分の1にしか影響を与えていないという、課税ベースの狭いこともその一つだった。
 この税はまた、カナダにおける事業の競争にとっては不利なものだった。例えば、燃料や事務用品のように、製造業者が購入する資産の大部分が課税対象だった。そのような資産にかかる支出が物品の販売価格を高くし、その物品自体も課税対象だったので、これが仕入価格に対する二重課税につながることになっていた。
 それに対して、外国製物品は、この二重課税の対象とならなかったので、実質的にカナダ製物品よりもかなり有利となった。
 結局、この税は国内製品には不利で、輸入品を優遇することになってしまった。事実、輸入された製品に輸入業者が負うべきマーケティング及び流通コストが含まれていなかった場合は、関税に相当する金額に課税されいた。反対に、これらのコストは同種のカナダ製品の販売価格に反映されていた。
 その結果、1956年という早い時期に、この税に代わって小売売上税を採用するよう推奨する諸研究が出された。
 
現在の州税について
 
 売上税なしの税制を選んだアルバータ州以外の諸州は、小売売上税の導入を決めた。
 最近であるが、ニュー・ブランズウィック州、ノヴァ・スコシア州、ニュー・ファウンドランド州は、各州の売上税システムを連邦の物品・サービス税(GST)法に統合させた(訳者注:Harmoni-
zed Sales Tax,HSTと呼ばれる)。
 一般に、各州の売上税は州内での小売販売に課される。
 これらは、州内での消費や使用を目的とした商品や一定のサービス、電気、電話、照明の購入にのみ適用される。さらに、州内で使用するための商品であれば特定の州外での購入にも適用される。
 各州の売上税は、各州の(州民に対する)直接税を課税する権限により、最終消費者を負担者としている。
 その結果、州外への転売や州外配達目的の商品販売は、売上税の対象にはならない。
 一般的な課税規定は、いくつかの例外の設けている。その中に、転売用に卸売業者が購入した商品に関する非課税規定がある。
 また、他者のために物品の製造等を行う業者のための原材料や部品は、各州の売上税法の規定により非課税とされてる。
 そのような非課税取引の際には、非課税証明書が必要となる。
 
1.3 連邦の改革
 
 カナダ政府がその売上税制度の改革を導入しようと試みたのは、1980年代後半であった。
 連邦の改革を通じて政府に求められた中心的目標は、より競争力のあるカナダ産業、中立的税システム、信頼できる財源、より公平な税制度であった。
 その結果、一般にGST と呼ばれるようになった物品(Goods)・サービス(Services)税(Tax)
が、1991年1月1日より施行された。
 これまで述べたように、新しいGSTは、(前段階の)税額控除メカニズムの導入によって仕入に
係る税額を控除することができ、カナダの産業の競争的地位を向上させるという利点を持っている。
 このメカニズムは、後で検討することになるが、事業者に事業活動中に購入した商品やサービスに課された税額の控除を求めることができる、というものだ。
 また、新しいGSTでは、ゼロ税率の導入で輸出品に係る税額を免除している。
 さらに、新制度では、この税はカナダ製品と同じく輸入品に適用されており、課税の中立性が確保されている。
 最後に、年収が3万カナダ・ドル未満の世帯に対して、新しくGST控除制度を導入することで、
連邦政府は消費課税を主要な歳入源としながら、このような税の特徴である逆進性を排除することができることになった。
 
2.ケベック州の消費課税

2.1 連邦政府の改革に対するケベック州の対応
 
 当初、連邦政府のGST計画には重大な問題点があったが、特にケベック州が強く非難したのは行政上の問題だった。
 一つには、小売の分野に介入することにより、連邦政府は、既に各州のレベルで存在する制度を重複させることになった。
 連邦政府にとっては、GSTをケベック州の売上税制度に重ねることが、登録、徴収、情報収集、
調査のための第二の制度を構築することを意味していた。
 事業者にとっては、二つの異なる租税制度に関する知識を得、理解し、かつそれに従わなければならないということであり、それはまた、同時に、二つの異なる行政庁と相対したり、異なる日付に納付をしたり、さらに二重の徴収制度を構築しなければならないことを意味していた。
 実際の業務はかなり複雑になるため、中には新型の高度な設備を必要としたり、なおかつ外部の専門家の助けを求めざるをえない事業者も多く出てくることが予想された。
 1990年、二つの制度の併存によって生じる問題を軽減するため、ケベック州はGSTと自州の売上税を統合させることについて連邦政府との合意に至った。
 この目標に進むための準備は、1991年に始められた。ケベック州税の課税ベースを、動産の小売に関しては、ほとんどGSTに一致させるということになった。
 課税ベースはこうして広くなったが、それに関しては9%から8%に税率を軽減することによって補われることになった。
 更に、これらの改定の中には、ケベック州売上税(Quebec Sales Tax・QST)に飲食・ホテル税を統合させるというものもあった。
 ケベック州の税制改革の主要な目的の一つには、州の財政政策に関する方向づけと管理面で、ケベック州が重要な役割を確実に維持し続け、州の利益を守るというものがあった。
 また一方で、租税制度における公平性、特に低所得世帯に対しての公平性が求められた。
 最後に、もう一つの目標は、特に事業における生産コストを削減することで、経済成長を促すことであった。
 
2.2 QSTの実施
 
GSTと調和のとれた立法
 
 連邦の税制とケベック州の税制を統合させる改革は、1992年7月1日に最終段階を迎えた。
 いくつかの例外はあったが、その時導入された新しい売上税は、GSTの対象となる全資産とサービスの譲渡等のときに、それらの購入者に適用された。
 例外というのは、専ら転売、賃貸、転貸を目的とした仕入と、販売を予定した商品の部品仕入に関するものだった。これらの例外は、先程述べたように、ケベック州憲法に基づく課税権が直接税に限定されていることによって正当とみなされた。
 以前の売上税とは逆に、新税の目的は最終消費者への販売にのみ適用されることだった。そこでGSTの場合と同様、新税は、業者が仕入時に支払った税金を控除するメカニズムが組み込まれていた。
 更に、新税はGSTと同じ課税ベースを採用し、一般的にGSTが適用される動産、不動産全てとサービスとに適用された。そのため、その影響は国民のより多くの階層によって感じられるようになった。
 この税と並行して実施されたもう一つの重要な制度が、低所得納税者に対する戻し税法式による売上税の税額控除である。この税額控除の方法によって、低所得納税者が税額負担の増加を負わなくてもよくなるはずであった。
 最後に、当時のケベック州政府との「合意覚書」の中には、ケベック州政府による州内におけるGSTの執行も含まれていた。
 
 
合意覚書
 
 ケベック州政府へのGSTの執行権の委譲をも伴う、前例のない権限委任の法令が制定された。つまり1990年、ケベック州は連邦政府と権限委任の協定を定めた最初の州になった。
 さらに明確に言えば、ケベック州政府によるGSTの執行期間と条件もその協定に含まれていた。
 という訳で、それには二つの政府間でのアイデアや情報交換の方法も含まれていた。
 他には、協定文を元に作成される法律、規則及びその解釈に関する規定があった。
 そして、この協定の中では、財政上の補償の他に、登録、納税申告、納付、還付請求、査定、調査、不服申立、異議申立を扱っていた。
 この協定は、人的資源と物質的資源に関する大きな変化をもたらした。
 実施の条件には、組織の再編成と、それに伴う増員要求があった。
 コンピュータの機能改善の必要性と共に国税庁のコンピュータ・システムを改良する結果になり、
そのためにそれを使う人間を養成しなければならなくなった。
 
2.3 その他の消費課税
 
 当時他にも個別消費税が適用されていたが、一定の製品とサービスの消費に関しては、いくつかの税が今日も適用され続けている。
 現在、個別消費税は、燃料と煙草に課せられている。酒類や保険料にも同じことが言える。またその他に、通信税が1992年7月の改革後QSTに組み込まれた。飲食及びホテル税は、1991年の過渡期に売上税に組み込まれた。
 
3. 現在のQST
 
3.1 期待されたQSTの利点
 
簡素
 
 まず、第一に簡素が挙げられる。
 1990年にできた合意覚書では、QSTとGSTの簡素で統一された執行運営を導入した。
 更に、GSTとQSTの統合によって、他のカナダの諸州においては生じている二つの異なる課税制度の併存から起こり得る重複状況を排除した。
 また共通の課税ベースは、両方の制度の執行を簡素化するものである。先に述べたように、QSTとGSTは両方とも物品及びサービスに適用される。
 また、課税対象取引が年間3万カナダ・ドルを超えない零細事業者の納税義務を免除することによっていて、徴税業務がさらに簡素化された。
 
競争力
 
 他に、QST導入で予想されたもう一つの利点は競争力である。
 これは、一つには、先程述べた付加価値メカニズムの結果である。つまり、付加価値税は、実際は、生産と流通の各段階における製品やサービスの価値の増加に課税される税だということである。
 また、仕入に係る税額も税額控除メカニズムにより控除されることになる。
 そして最後に、この税は最終消費者を対象とし、資産とサービスの双方に単一の税率を適用しているので中立的な税といえる。
 
公平性:より公平な租税制度
 
 QST導入に関して予想された三番目かつ最後の利点は、公平性、言いかえるならば、より公平性
の高い租税制度であることである。QST導入に伴い、低所得世帯では生活にかかる費用が増大することが予想される。これは、いわゆる逆進性と呼ばれるものである。
 租税負担も課税ベースの広がりによって増加する。それは資産にもサービスにも適用されるからである。この税の逆進性を幾分緩和するために、戻し税方式の税額控除による納税者補償施策が導入されている。
 
第2部   法律制定
 
1.QST - 付加価値税(VAT)
 
 QSTは付加価値税であり、生産と流通の各段階に課せられる消費税であることを意味している。 各段階で連続して適用され、次の段階で税額控除されることになる。例えば、資産やサービスの生産と流通に関わる各事業者は、一般に事業活動中に使用した資産やサービスの購入に支払った税の全額が控除できることになっている。
 このことは、製品やサービスの価値の各段階で増加した分にのみ、言いかえると、各段階における付加価値に課税されることを意味している。
 また、税額控除が受けられるのは、購入された資産やサービスが事業活動の過程で使われる場合に限られているので、このことは、この税を資産やサービスの最終消費者が完全に負担することを意味する。
 日本を含めて、世界の50カ国以上が付加価値税の採用を選んだことは注目すべきことである。

2.歴史的展望と財政効果
 
歴史的展望
 
 QSTの歴史的展望に関しては、QSTが1992年7月1日に施行されたことである。その日以来、先に述べたように、ケベック州は州内におけるGSTの執行を任されている。
 元々、この税には2つの税率が用いられていた。資産に適用されていた8%とサービスに適用されていた4%の税率である。
 そして、1994年5月13日付けで6.5%の単一税率が適用されることになった。その後は、1998年1月1日現在、税率は7.5%まで上がっている。
 
財政効果
 
 1997-1998年の会計年度の終りに、QSTの財政収入はおよそ56億6千カナダ・ドルであった。
 
3.QSTは、何に適用するか
 
 QSTは、課税対象の譲渡等に対して適用されている。
 ただ「譲渡等」の意義は非常に多様である。資産(動産若しくは不動産、又は有形若しくは無形を問わず)の引き渡しやサービスの提供などに関して、販売、移転、交換、為替、認可、賃貸、贈与、売却と称する行為は全て含まれる。
 しかし、譲渡等がなされたというだけでは、譲渡等する側に課税する理由としては十分ではない。
課税するためには、その譲渡等が「課税対象でなければならない」のである。《課税対象の譲渡等》
とは、事業活動中になされた譲渡等を指す。
 「事業活動」とは、次のような意味である。
 まず、事業を継続することである。事業には、商業、製造業、専門職、職種を含み、これらは全て営利、非営利を問わない。同様に、賃貸、認可または同種の行為による資産の譲渡等を伴う、定期的あるいは継続的に行われる行為も含まれる。ただし、官庁と雇用に関しては除外されている。
 また事業活動には、 単発の投機的事業というべき性質の商業的投機や出資も含まれる。
 最後に、不動産の譲渡等も同じくQST制度の下の事業活動である。
 しかし、「事業活動」には後で述べる非課税の譲渡等は含まれない。また、妥当な利益が予測できない個人が行った取引というべき商業的投機や出資も除外される。
 
4.誰がQSTを支払うのか
 
 QSTを支払うのは、譲渡等の「受取人」である。《受取人》とは、合意によって、譲渡等に対する対価を支払う必要がある人を指す。
 この場合、「対価」は、譲渡等に対し支払うべき価額を意味する。「対価」は、現金の場合もあれば、資産やサービスの形で支払われる場合もある。そこには、連邦の物品及びサービス税(一般にGSTと呼ばれる)や、場合によっては、燃料税、煙草税のような他の個別消費税も含まれる。
 金銭以外による対価支払の場合、対価の価額はその譲渡等されたものが作られたときにおける公正な市場価格に相当する額とされる。
 従って、見てきたとおり、譲渡等の受取人というのは、必ずしも実際に税を支払う人とは限らない。先程述べた通り、受取人とは、譲渡等に対して対価を支払わなければならない人のことである。
 
5.QSTの税率は
 
 1998年1月1日以来、QSTの全体の税率は7.5%である。この税率は、0%で課税されるゼロ税率取引以外の、課税対象になる資産とサービスの譲渡等全てに適用される。
 ゼロ税率取引には、基本的食料品、医療用装置、農業と漁業に関わる製品が含まれる。
 保健サービス、教育サービス及び公共部門団体による譲渡等のような場合は課税対象外取引となるためQSTは適用されない。
 
6. どこで、QSTは適用されるか
  
 QSTが課税対象の譲渡等につきその譲渡者に対して課せられるためには、その課税対象の譲渡等がケベック州内で行われなければならない。
 QSTには譲渡等の場所を決定するに当たって、いくつかの規定や推定規定がある。これらの規定は、事業者が行う譲渡等が有形動産、無形動産、サービス、または不動産であるかによって異なる。
 例えば、有形動産がケベック州内で受取人に届けられるとすれば、州内で作られたと考えられる。
つまり、ケベック州で資産が受取人に送られるか、利用できるということを意味する。さらに、不動産がケベック州内に位置する場合、その譲渡等は州内で行われたものと考えられる。また、全て、あるいはほぼ全てのサービスがケベック州内で行われる場合も、その譲渡等は、ケベック州内でなされたものとみなされる。
 しかし、ケベック州在住でない人間が州内で資産やサービスの譲渡等をした場合は、州外で扱われた譲渡等とみなすという点は注目すべきである。しかし、これにもいくつかの例外がある。例えば、ケベック州在住でない者が、州内において経営する事業の課程における譲渡等がある。またケベック州在住でない者が、譲渡等がなされた際に登録事業者になっているときである。この場合において、「登録事業者」とは、実際QSTのために登録した人、または登録する義務がある人を意味する。
 
7. 仕入税額控除(ITR)
 
 その原理は以下のとおりである。
 QST 制度の下で登録した全ての者は、一般にその者の事業活動の過程で得た資産やサービスの譲渡等に対して支払ったQSTの控除を受ける権利がある。
 そして、ゼロ税率取引を含む課税対象の譲渡等をした者はその者の受け取った資産とサービスに関して仕入税額控除を受ける権利が得られる。それに対して、非課税となる譲渡等をした者は、仕入税額控除(Input Tax Refund::ITR)を受けることはできない。
 例えば、法律事務所が文具を購入すると、その時に支払ったQSTは全額控除する権利が生じる。 しかし、同じ文具を一般開業医が購入しても、税額控除は受けられない。というのは、医者の事業活動の課程において文具が購入されたのではないからである。
 実際は、保健サービスは非課税取引なので、事業活動の過程の中で行われたものとは見なされないことになるのであるが。
 
 8. 登録する必要がある人とは誰か
 
 QST目的のための登録の義務に関する一般原則は、ケベック州内で行う事業活動の課程で、課税対象になる譲渡等をする者はみな登録しなければならないとなっている。
 しかし、次の場合、この原則は適用されない。
 課税対象の譲渡等に関して1年の取引金額が3万カナダ・ドル以下の小規模事業者の場合である。
 また、事業活動が不動産の販売、または不動産販売の課程のみである場合は、どちらも適用しない。 そして、ケベック州在住ではない者、ケベック州内で事業を行っていない者はQST制度では登録する必要はない。
 
続く
by nk24mdwst | 2008-03-02 13:43 | 租税法(日米以外)


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