Consumption Tax in Japan Ⅱ

(3)仕入税額控除の要件

消費税法は、仕入税額控除の適用について、「事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等を保存しない場合には、当該保存がない課税仕入れ又は課税貨物に係る課税仕入れ等の税額については、適用しない。ただし、災害その他やむを得ない事情により、当該保存をすることができなかつたことを当該事業者において証明した場合は、この限りでない。」と規定しています。(消法30⑦)

仕入税額控除の要件は、EU諸国等ではインボイスの保存です。それに対し、日本では、帳簿方式が用いられているわけです。ただし、その帳簿方式の内容についてですが、消費税の導入当初は帳簿「又は」請求書等の保存という規定でした。それが、消費税の税率引上げに伴う平成6年改正で帳簿「及び」請求書等の保存とその要件が加重されました。

これは、単に法文上の規定からすると、事業者番号は用いられないものの、日本の仕入税額控除の要件は、最も厳しいと理解することも可能なのです。もちろん、少なくとも現時点での課税の現場の執行面においてそのような取扱いが一律に行われているということではないことは指摘しておきます。

いずれにしろ、事業者番号制度のない帳簿方式をもちいているわけですから、一般消費者や免税事業者からの仕入れについても仕入税額控除が認められるという点で、前段階税額控除の不透明性という根本的欠陥の解決はなされていないことになります。
(4)帳簿及び請求書等の保存(消法30⑦)

① 消費税法30条7項の性格・意義

消費税法30条7項は、同条1項の仕入税額控除の規定について「事業者が当該課税期間に係る帳簿及び請求書等(略)の保存をしない場合には」、保存がない課税仕入れ等の税額については、適用しないと規定しています。

30条7項の条文構成は、仕入税額控除の適用がされない場合を規定しています。しかし、消費税を付加価値税として位置づけると消費税における課税においては、納税義務者である事業者の納税義務と仕入れに係る税額控除の権利は、一体不可分だと考えられます。権利としての仕入税額控除を当然の前提として、帳簿及び請求書等の保存が義務として課されることを規定していると考えます。

つまり、消費税法30条は、課税要件を規定している条文であるというべきです。

また、仕入税額控除は所得税、法人税における外国税額控除のような税額控除という意味において同一であると考えることはできません。

税制改革法10条2項の「税の累積を排除」という文言から、消費税の本質が付加価値税であると解釈できます。また、課税仕入れに際し事業者が支払った消費税相当額は過不足なく控除されなければなりません。過大な控除が認められないと同時に、過少な控除も法は予定していないはずなのです。

② 帳簿等の保存と提示
 
帳簿等の保存の意義に関し、青色申告者に義務付けられている帳簿保存要件における場合と同様に税務調査時にの正当な理由のない帳簿等の提示拒否があった場合は、帳簿等の保存がないものとする課税処分が平成4年ごろを境にして厳格に行われるようになりました。
 
仕入税額控除は「特典」であり、保存の要件を充たさない以上、仕入税額控除の全額を否認することができるという論理がもちいられだしたのです。結果として、消費税法30条7項の解釈、特に、帳簿等の保存の意義を争点とする税務争訟が多発するようになったわけです。

課税庁が仕入税額控除の否認を行うためには、税務調査を行い、帳簿等の保存がないことを課税庁は、立証しなければなりません。
たしかに、調査時において帳簿等の提示がない場合は、課税庁としては、帳簿等の保存の確認ができないことになります。しかし、それは、税務調査時において帳簿等の保存がなかったことを立証したことにはなりません。あくまで、帳簿等の保存の確認ができず、帳簿等の保存がないことが推認されるということにしか過ぎないわけです。

上述のように、課税庁は、帳簿等の保存がないことを推認することと、帳簿等の保存がないことを立証していることとは異なります。

しかし、課税庁が帳簿等の保存がないと推認して課税処分を行った場合においては、仕入税額控除の要件である帳簿等の保存に関する立証責任は、納税者に帰すことになるというべきでしょう。

一般常識的には税務調査時に帳簿等を提示することによって帳簿等の保存が証明され、その帳簿等の内容について税務調査が行われるということになります。
しかし、税務調査に関しては、色々な事情により様々な状況が起こることがあります。それら全てが、悪意ある納税者による調査妨害であるのなら話は、簡単なのでしょうが、必ずしも想とはいいきれないところに、問題の奥深さが存在します。

そして、納税者と課税庁の調査担当職員との間において意思の疎通や、通常の税務調査は、質問検査権に基づく間接強制力を伴う任意調査という性格を持つので、双方の間で信頼関係が築けない場合においては、感情的な対立が起きることもありえないことではないわけです。

そのような場合に、課税庁側が形式的な法解釈論に依拠して、納税者から適時に帳簿等の提示がなかったことは、帳簿等の保存がなかった場合に該当するとして仕入れ税額控除を否認する処分を行うことがあります。

しかし、調査時において帳簿の提示がなかった場合であっても、故意による調査妨害であるような例外を除けば、課税処分後において提示された帳簿等を検討することによって帳簿等の保存の実態を確認できることもありえるはずです。

逆に、調査時に提示がなかった場合において、その時点で帳簿等の保存がなかったという判断を税務調査に基づく処分の可否を判断する国税不服審判所や裁判所が行ってしまうと納税者としては、帳簿等の保存を立証する機会が全く失われることになるわけです。

論理的には、帳簿等の保存がないときはその提示もできません。しかし、帳簿等の提示がない場合すべてが、帳簿等の保存がない場合に該当するということにはならないはずです。もちろん、税務調査を行う立場からすれば、提示がなければ保存を確認できず、保存がないものとして仕入税額控除の否認を行うという論理が成立することは理解できます。

しかし、消費税法30条7項は帳簿等の保存義務を定めているだけであって、提示の義務、時期を規定しているわけではありません。課税処分後の、不服申立て、あるいは、訴訟の段階で帳簿等の提示がなされた場合は、その帳簿等を検討しそれが明らかに後日作成された帳簿等であるかどうかを検討すべきでしょう。その上で、帳簿保存要件に合致すると判断されるときは、その帳簿等の記載内容についての検討が行われるべきと考えます。

「保存という文言の通常の意味からしても、また、法全体の解釈からしても、税務調査の際に事業者が帳簿又は請求書等の提示を拒否したことを、法30条7項の保存がない場合に該当する、あるいはそれと同視した結果に結び付ける課税庁の主張は、もはや法解釈の域を超えるもの」(大阪地判平10.8.10、税資237号1007頁)

という判断は極めて常識的なものであるはずです。

納税者は申告書作成当時から一貫して帳簿等を保存していたことを立証する責任を負うことになります、その立証時期を正当な理由がない限り適法な税務調査時に限定することに関しての明文の規定は存在しないのです。

それにもかかわらず、判例は、納税者に対し正当な理由の存在、あるいは、税務調査の違法性の立証責任を負わせています。しかし、論理的にはともかく、現実の税務調査の場合において納税者がこれらを立証することは限りなく困難であるといえます。

前述のように質問検査権が間接強制力を課税庁の当該職員に対して認めているものである以上、納税者には税務調査に対する受忍義務があります。

ですから、本来、課税庁が行う処分のあるべき形に関しては、正当な理由なくして税務調査に協力しなかったり、従わない納税者がいる場合は、消費税法の調査受忍義務違反について処分をし、その上で仕入税額控除等の否認を行うというのが適正な手続であると考えられるわけです。

消費税の税務調査において税務職員に対して正当な理由なくして帳簿の提示がなかった場合は、帳簿の保存がなかったと解するべきであるという判決(最判平16.12.16、判タ1175号135頁、16.12.20、判時1889号42頁、17.3.10、判タ1179号171頁)最高裁で相次ぎました。

特に、最高裁平成16年12月20日及び17年3月10日判決は、調査段階から税理士が関与している事例なので、その意味で非常に重要な意味をもっていると考えられます。

先ず最初の最高裁第一小法廷平成16年12月16日判決(平成13(行ヒ)116)は、要旨
事業者が帳簿又は請求書等を税務職員による検査に当たって適時に提示することが可能なように態勢を整えて保存していなかった場合の消費税法(平成6年法律第109号による改正前のもの)30条7項にいう「事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿又は請求書等を保存しない場合」該当性について、事業者が,消費税法施行令(平成7年政令第341号による改正前のもの)50条1項の定めるとおり,消費税法(平成6年法律第109号による改正前のもの)30条7項に規定する帳簿又は請求書等を整理し,これらを税務職員による検査に当たって適時に提示することが可能なように所定の期間及び場所において態勢を整えて保存していなかった場合は,同項にいう「事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿又は請求書等を保存しない場合」に当たる。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=25083&hanreiKbn=01
としました。
判決文によると
1 原審の適法に確定した事実関係等の概要は,次のとおりである。
 (1) 上告人は,大工工事業を営む個人事業者であるが,平成2年1月1日から同年12月31日までの課税期間(以下「本件課税期間」という。)の消費税について確定申告をしなかった。また,上告人は,昭和63年分,平成元年分及び同2年分の所得税についてそれぞれ確定申告をしたが,その申告書に事業所得に係る総収入金額及び必要経費を記載せず,その内訳を記載した書類を添付しなかった。
 (2) 被上告人の職員は,上告人が本件課税期間について納めるべき消費税の税額を算出するため,また,上記の所得税に係る申告内容が適正であるかどうかを検討するため,上告人の事業に関する帳簿書類を調査することとした。
 上記職員は,平成3年8月下旬から上告人の妻と電話で数回話をするなどして調査の日程の調整に努めた上,その了承を得て,同年10月16日,同月25日,同年11月18日,平成4年1月21日及び同月31日の5回にわたり上告人の自宅を訪れ,上告人に対し,帳簿書類を全部提示して調査に協力するよう求めた。しかし,上告人は,上記の求めに特に違法な点はなく,これに応じ難いとする理由も格別なかったにもかかわらず,上記職員に対し,平成2年分の接待交際費に関する領収書を提示しただけで,その余の帳簿書類を提示せず,それ以上調査に協力しなかった。上記職員は,提示された上記の領収書312枚をその場で書き写したが,その余の帳簿書類については,上告人が提示を拒絶したため,内容を確認することができなかっ
た。
 (3) そこで,被上告人は,上告人の本件課税期間に係る消費税につき,調査して把握した上告人の大工工事業に係る平成2年分の総収入金額に103分の100を乗じて得た消費税法(平成6年法律第109号による改正前のもの。以下「法」という。)28条1項所定の課税標準である金額に基づき消費税額を算出した上で,提示された上記の領収書によって確認された接待交際費に係る消費税額だけを法30条1項により控除され
る課税仕入れに係る消費税額と認め,その余の課税仕入れについては,同条7項が規定する「事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿又は請求書等を保存しない場合」に該当するとして,同条1項が定める課税仕入れに係る消費税額の控除を行わないで消費税額を算出し,平成4年3月4日付けをもって第1審判決別紙2の「原処分の額」欄記載のとおりの決定処分及び無申告加算税賦課決定処分をした。 
 (4) 上告人は,上記各処分について被上告人に異議の申立てをした上で国税不服審判所長に対して審査請求をしたところ,国税不服審判所長は,平成7年3月30日付けで,第1審判決別紙2のとおり,上記各処分の一部を取り消す旨の裁決をした(同裁決により一部取り消された後の上記各処分(別紙処分目録記載の各処分)を以下「本件各処分」という。)。
 2 本件は,上告人が,被上告人に対し,本件各処分等の取消しを請求する事案である。
 3 所論の点に関する当審の判断は,次のとおりである。
 (1) 消費税の納付すべき税額は,納税義務者である事業者が課税期間ごとにする「課税資産の譲渡等に
ついての確定申告」により確定することが原則とされており(法45条1項,国税通則法16条1項1号),その申告がない場合又はその申告に係る税額の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかった場合その他当該税額が税務署長等の調査したところと異なる場合に限り,税務署長等の処分により確定する(国税通則法16条1項1号,24条及び25条)。
 このような申告納税方式の下では,納税義務者のする申告が事実に基づいて適正に行われることが肝要
であり,必要に応じて税務署長等がこの点を確認することができなければならない。そこで,事業者は,帳簿を備え付けてこれにその行った資産の譲渡等に関する事項を記録した上,当該帳簿を保存することを義務付けられており(法58条),国税庁,国税局又は税務署の職員(以下「税務職員」という。)は,必要があるときは,事業者の帳簿書類を検査して申告が適正に行われたかどうかを調査することができるものとされ(法62条),税務職員の検査を拒み,妨げ,又は忌避した者に対しては罰則が定められていて(法68条1号),税務署長が適正に更正処分等を行うことができるようにされている。
 (2) 法が事業者に対して上記のとおり帳簿の備付け,記録及び保存を義務付けているのは,その帳簿が税務職員による検査の対象となり得ることを前提にしていることが明らかである。そして,事業者が国内において課税仕入れを行った場合には,課税仕入れに関する事項も法58条により帳簿に記録することが義務付けられているから,税務職員は,上記の帳簿を検査して上記事項が記録されているかどうかなどを調査することができる。
 法30条7項は,法58条の場合と同様に,当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿又は請求書等が税務職員による検査の対象となり得ることを前提にしているものであり,事業者が,国内において行った課税仕入れに関し,法30条8項1号所定の事項が記載されている帳簿を保存している場合又は同条9項1号所定の書類で同号所定の事項が記載されている請求書等を保存している場合において,税務職員がそのいずれかを検査することにより課税仕入れの事実を調査することが可能であるときに限り,同条1項を適用することができることを明らかにするものであると解される。同条10項の委任を受けて同条7項に規定する帳簿又は請求書等の保存に関する事項を定める消費税法施行令(平成7年政令第341号による改
正前のもの。以下同じ。)50条1項は,法30条1項の規定の適用を受けようとする事業者が,同条7項に規定する帳簿又は請求書等を整理し,所定の日から7年間,これを納税地又はその取引に係る事務所,事業所その他これらに準ずるものの所在地に保存しなければならないことを定めているが,これは,国税の更正,決定等の期間制限を定める国税通則法70条が,その5項において,その更正又は決定に係る国税の法定申告期限等から7年を経過する日まで更正,決定等をすることができると定めているところと符合する。
 法30条7項の規定の反面として,事業者が上記帳簿又は請求書等を保存していない場合には同条1項が適用されないことになるが,このような法的不利益が特に定められたのは,資産の譲渡等が連鎖的に行われる中で,広く,かつ,薄く資産の譲渡等に課税するという消費税により適正な税収を確保するには,上記帳簿又は請求書等という確実な資料を保存させることが必要不可欠であると判断されたためであると考えられる。
 (3) 以上によれば,【要旨】事業者が,消費税法施行令50条1項の定めるとおり,法30条7項に規定する帳簿又は請求書等を整理し,これらを所定の期間及び場所において,法62条に基づく税務職員による検査に当たって適時にこれを提示することが可能なように態勢を整えて保存していなかった場合は、法30条7項にいう「事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿又は請求書等を保存しない場合」に当たり,事業者が災害その他やむを得ない事情により当該保存をすることができなかったことを証明しない限り(同項ただし書),同条1項の規定は,当該保存がない課税仕入れに係る課税仕入れ等の税額については,適用されないものというべきである。
 (4) これを本件についてみると,前記事実関係等によれば,上告人は,被上告人の職員から帳簿書類の提示を求められ,その求めに特に違法な点はなく,これに応じ難いとする理由も格別なかったにもかかわらず,上記職員に対し,平成2年分の接待交際費に関する領収書を提示しただけで,その余の帳簿書類を提示せず,それ以上調査に協力しなかったというのである。これによれば,上告人が,法62条に基づく税務職員による上記帳簿又は請求書等の検査に当たり,適時に提示することが可能なように態勢を整えてこれらを保存していたということはできず,本件は法30条7項にいう「事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿又は請求書等を保存しない場合」に当たり,本件各処分に違法はないというべきである。
 これと同旨の原審の判断は正当として是認することができる。論旨は採用することができない。
 4 以上の次第であって,本件上告のうち,本件各処分の取消請求に関する部分はこれを棄却すべきである。
 なお,その余の部分に関する上告については,上告受理申立書及び上告受理申立て理由書に上告受理申立て理由の記載がないからこれを却下すべきである。
 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 泉 德治 裁判官 横尾和子 裁判官 甲斐中辰夫 裁判官 島田仁郎 裁判官 才口千晴)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/7D1C03C3B88DA77F4925702900268912.pdf
この判決において、注意しなければいけないのは、原告である納税者が所得税法において帳簿作成を義務付けられていない白色申告者であることが一つあります。
所得税法上、帳簿記載が義務付けられていないとしても、その事業者が消費税の課税事業者に該当する場合は、消費税法により帳簿等の記載保存が義務付けられているのは事実ですが。
それから、この事案の場合、きちんと整理された帳簿等の存在に関する蓋然性は必ずしも高くないと思われるのですが、一部だけ税務調査に際して提示した領収書にかかる消費税の仕入税額控除に関してはそれを認めているということにも留意が必要です。
いい方は良くないかもしれませんが、最も筋の良くないものに関して調査時における帳簿等の提示がなかったことを理由にする消費税の仕入税額控除否認の判決が最高裁で下されたといえるかもしれません。

次に、最高裁(第二小法廷)平成16年12月20日を見ます。平成16年(行ヒ)第37号法人税更正処分等取消請求上告事件(棄却)(確定)【税務訴訟資料254号順号9870】判決は、本件上告を棄却するとしその理由として、
【判示(1)】1 消費税法(平成9年3月31日以前の課税期間については平成6年法律第109号による改正前のもの、平成9年4月1日以降の課税期間については平成12年法律第26号による改正前のもの。以下「法」という。)が採る申告納税制度の趣旨及び仕組み並びに法30条7項の趣旨に照らせば、事業者は、同条1項の適用を受けるには、消費税法施行令(平成9年3月31日以前の課税期間については平成7年政令第341号による改正前のもの、平成9年4月1日以降の課税期間については平成12年政令第307号による改正前のもの)50条1項の定めるとおり、法30条7項に規定する帳簿又は請求書等(同日以降の課税期間については帳簿及び請求書等。以下「帳簿等」という。)を整理し、これらを所定の期間及び場所において、法62条に基づく税務職員による検査に当たって適時に提示することが可能なように態勢を整えて保存することを要するのであり、事業者がこれを行っていなかった場合には、法30条7項により、事業者が災害その他やむを得ない事情によりこれをすることができなかったことを証明しない限り(同項ただし書)、同条1項の規定は適用されないものというべきである(最高裁平成13年(行ヒ)第116号同16年12月16日第一小法廷判決・裁判所時報1378号参照)。
【判示(2)】
2 原審の適法に確定した事実関係によれば、上告人は、被上告人の職員が上告人に対する税務調査において適法に帳簿等の提示を求め、これに応じ難いとする理由も格別なかったにもかかわらず、上記職員に対して帳簿等の提示を拒み続けたというのである。そうすると、上告人が、上記調査が行われた時点で帳簿等を保管していたとしても、法62条に基づく税務職員による帳簿等の検査に当たって適時にこれを提示することが可能なように態勢を整えて帳簿等を保存していたということはできず、本件は法30条7項にいう帳簿等を保存しない場合に当たるから、被上告人が上告人に対して同条1項の適用がないとしてした別紙処分目録記載の各処分に違法はないというべきである。
  これと同旨の原審の判断は是認することができる。論旨は採用することができない。
 なお、その余の請求に関する上告については、上告受理申立て理由が上告受理の決定において排除されたので、棄却することとする。
 よって、裁判官滝井繁男の反対意見があるほか、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
としています。

細かい状況は下級審判決を見ればわかりますが、いずれにしろ税理士が関与している青色申告法人が原告なので、消費税法にいう帳簿等が全く存在しなかったとはいえず、所定の帳簿等があったであろうという蓋然性はたかいわけです。その意味で、前掲の12月16日判決とは異なることに注意が必要です。

続く

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by nk24mdwst | 2008-01-28 11:27 | 租税法(日本)


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