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a call

車を運転して、次の仕事先に向かっていたら、携帯電話に電話。
「君、明日、オーストラリアに行くから、一緒に来てくれ。切符なんかどうでもなるから。」と。
確かに世界納税者連盟の世界大会に行く予定はしていましたが、先乗りの予定は、無く、逆に、一週間余り、外国へ行くので、目先の雑事を片付けねばと飛び回っているときに、突然、かかってきた電話でした。
あの、有無を言わせぬ無理無体を強いる声を聞くことは、もうできないのですね。

現代資本主義国家は、シュンペーターがいうように租税国家である・・・駆け出し税理士のとき、東京まで出かけて聞いた、先生のひと言は今でも、私の心の一番奥にしまってあります。周りの先輩税理士でさえ、手が届かないように見えたあの頃、著作を刊行されている学者の先生に直に、末席でお話をうかがうことでさえ、夢のようでした。
20年近く前の話ですね。場所は、前の東京税理士会館だったと記憶しています。

先生の教え子であるM先生指導のディベート大会を見て、これも雲の上の人たちがやっていることだと思ったのは、やはり17年ほど前でしょうか。

時が経つのは、早いものです。

日税連の公開研究討論会でディベートをでっち上げたこともありました。
租税理論学会で、先生とM先生がののしりあいのけんか腰の議論をするのを目の当たりにしたこともあります。
この消費税をめぐる問題に関しては、M先生の議論の方が正しかったですね。
ヘンゼルの考え方による手続法と実体法の税法上における位置づけの違いについて、私が気づいたのは、今年ですから。
それまでは、どちらの考え方にも一理あるようにも思え、どちらも、完全に納得はできないと言う部分がないまぜになっていました。

ある日、税法学原論の新版が、先生から送られてきたときは、飛び上がって驚きました。
人見知りする私ですが、金を使って東京まで出かけたからには、何かひと言いって帰らないと元が取れないと、好き勝手なことを述べていたのがお目に留まったのでしょうか。
最初に、先生と直接お話したのは、不公平税制ただす会が、納税権利憲章制定についてアメリカの話を聞こうと、全米納税者連盟のPete Sepp 氏を招聘したときだったような記憶があります。

日大の現代税法学会で、話をさせていただいたこともありました。行きつけのおすし屋の二階でお話をうかがいましたっけ。
懐かしい思い出です。

まだ最高裁判決が出ませんが、不動産譲渡損失の損益通算廃止規定に関しての遡及効が認められるかどうかについて、期間税、随時税論が、金子租税法にもありましたし、先生の現代税法学原論にもありました。
所得税は、期間税だから遡及効が認められると国会で立法当事者の主税局長が、金子本を持って答弁していました。
私は、期間税に遡及効は認められるという記述に納得がいかず、先生に直接、質問しました。
事業所得や給与所得と、一般個人の場合の不動産譲渡所得とでは、その性質は本質的に全く違うのではないか。不動産譲渡は一生に一度あるかないかのものであり、その性質は随時所得に極めて類似しているのではないかと。
先生は、真摯に私の疑問に答えてくれました。

北野弘久博士のご冥福を心からお祈りいたします。
残された課題は、大きく、状況は、はるかに厳しくなっていますが。
by nk24mdwst | 2010-06-21 14:13 | 租税法(日本)


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