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that's rock and roll, babe

Robert Palmer の遺稿集、Blues & Chaos をざっと流し読みしました。

私が、ロバート・パーマーの本を読むのはこれが、三冊目です。
Deep Blues: A Musical and Cultural History of the Missiippi Delta, Rock & Roll: An Unruly History を既に読みました。

Deep Blues は、初めてデルタ・ブルーズの歴史、Charlie Patton に始まるその伝統を生んだ背景、その影響をきちんとインタヴューとフィールド・ワークをもとにまとめたものを読んだという気がしました。
要するに、まず、ブルーズの元となるものは、当時の南部のプランテーションで働く、アフロ・アメリカン社会の共有的な文化的財産だったということを確認したうえで、革新者としてチャーリー・パットンを位置づけるということをしています。
この「Blues & Chaosでも、触れられていますが、テキサス・ブルーズ、John Lee Hookerといったあたりもきちんと検討をしています。そういうわけで、それ以前の色んなブルーズ本の中でもっとも説得力というか、私の個人的な知識、感覚の及ぶ範囲で納得のできるものだったということです。

1945年、アーカンソー生まれで大学時代にはバンドでサックスをやり、その後、ミシシッピ・ブルーズ・フェスティヴァルを主催していたというくらいの知識で読んだのですが。

PTVのロックの歴史を扱ったドキュメンタリーがありますが、その監修をしたのもパーマーで、それをまとめたのが、私が読んだ二番目の本です。
この本の最後に、彼の選んだロック・ベスト・テン・アルバムというのがあって、グラムとかパンクなんかまでちゃんと追いかけているので、私とはかなり違うものではありました。
まあ、私は、アルバムを10枚、列挙せよといわれると、ザッパのアルバムを最初から10枚とかいう具合にしか、今は思いつかないのでどうしようもないのですが。ザッパの最初の10枚がロックのベスト・テンだなんて意味じゃもちろんないです。

マジック・バンドのライブで1曲目のロケット・モートンのベース・ソロを聞いているうちに寝てしまうというのは、関係のない話ですが。
それが、一昨日で、昨日は、頑張ってSafe As Milk を最後まで聞きとおしたような気がしますが。

ロバート・パーマーのBlues & Chaos は、とんでもなく広い分野についてパーマーが書いた記事や、ライナー・ノートのアンソロジーです。全体を通してのテーマというのは、ないのですが、パーマーの混沌をそのままあらわしているのでしょう。
面白いものも少なからずあるのですが、いかんせん、短いと感じます。ほんの性格上仕方がないんでしょう。

冒頭、はしがき部分で、52歳で亡くなる直前の様子が語られていて、長年の薬物依存のせいで肝臓移植が必要だという話が出てきます。それが果たせず、亡くなるのですが、パーマーには医療保険がないのですね。
それで、チャリティ・コンサート等で募金が行われたなどと。つまり、国民皆保険なんて話から始まるのです。
もちろん脇道そのものですけどね。

大きなテーマとしては、ブルーズ(デルタ・ブルーズに限定していません)、ジャズ、ロックンロールの誕生(50年代、特にBo Diddley、Little Richard, Jerry Lee Lewis )、ソウルとR&B(Ray Charles, Sam Cook, Stax)という具合に進みます。

Deep Blues でもきちんと検証され、強調されていますが、デルタ・ブルーズ・キングとしてのRobert Johnson 伝説をこの本でも、根も葉もない嘘だと述べているのはその通りだと思います。
Son House, Holin' Wolf, Muddy Waters たちがその後のシカゴのアーバン・ブルーズにつながる伝統をCharlie Patton から継承発展させたのだということです。
ロバート・ジョンソンの直接的な影響を受けたギタリストというのは、60年代のブルーズ・ブームにおける白人ギタリストたちですよね。
だって、義理の息子のRobert Lockwood, Jr. は、最初にエレクトリック・ギターを持ってプレイしたブルーズ・ギタリストの一人だと思いますが、彼は、ボトル・ネックじゃなくてシングル・トーン・プレイヤーです。
ま、いいか。

実は、一番最初の部分は、アメリカン・ミュージックとは何かということで、マイケル・ティルソン・トマスとチャールズ・アイヴズの話からエドガー・ヴァレーズなんてところへ話が進みます。
もちろん西洋古典音楽の人たちなのですが、ティルソン・トマスが、James Brown とストラヴィンスキーを対等にみなしているのに賛意を示しているのですね。
このあとに、ロックンロールを定義づけするなんてことをやってます。当然、ロックの定義づけも行われなければなりません。

このあとは、まあ、クラシック・ロックとして、The Band, Eric Clapton, Lennon, Rolling Stones, Led Zeppelinに触れ、John Lennon はひとつの章立てがされ、さらにパンクから、次がワールド・ミュージックに広がるわけです。モロッコの音楽を現地へいって聞き、習うというのは、何か、ある種懐かしいものを感じますね。
Brian Jones もそんなことをしましたね。要するに、彼は、1960年後半のドラッグ・カルチャーを信奉する、教養のあるヒッピーの正統的な人物であったようです。両親は公民権運動の運動家だったようですし。

最後に、Willam Burroughs とかTerry Riley のインタヴューまである始末で。

ここの記事自体は、Rolling Stone とかNY Times なんかに掲載されたものなのでちゃんと読ませますが、中身があるというか私が感心を持つものほど短いと感じます。

Rick Kenmp のDixie Lullaby の方が、同じ南部出身で1960年生まれの音楽業界関係者の音楽を通した南部社会と自分史、いや、逆ですね、南部社会史と自分史を通じた音楽史として面白かったと思います。

リック・ケンプが上の世代に抱く違和感を常に語っている理由、私がベビー・ブーマーに抱く違和感と同じなのかもしれませんが、所与のものとされている前提が世代で異なるのでしょう。

1950年代、60年代のウェスト・コースト・ポップ・ミュージックに対する無視、カントリー、つまり、ナッシュヴィルのカントリーに対する無視というのは、やはり一種のエリート主義なんでしょうね。

The Band とRobbie Robertson, Levon Helm たちについては、私は、この数年、個人的に整理ができてなくて、あまり聞くことができません。Sandy Denny を聞くと胸が張り裂けそうになることがあるので、あまり聞かないようにしているというのとは違う次元です。

パーマーはバンドをやっていたので、フィルモア・イーストでのAllman Brothers Band のコンサートは、自分のバンドのギグがない限りすべて見たって語っています。Miles Davis のKind Of Blue のライナーでです。
Hourglass 時代のDuane Allman にコルトレーンのレコードを聞かせてやったのだそうです。

ECとのインタヴューは、まあ、呼び物のひとつなんだと思います。パーマーがECをどう評価しているかは、どうでもいいのですが、繰り返し、Albert King のコピーだよねって言っていて、そうだとECも答えています。
ここで疑問。例のLayla のリックは誰が考えたか。一応、デュアン・オールマンだということは、2人とも認めているようです、Randy Paw のSkydog によると。ただ、ここでおまけがあって、デュアンは、あれの元はアルバート・キングだってネタばらししているんですね。
そうだろ、そうだろ、要するに、音楽社会的共有財として既に存在していたものだ、ジャン、ジャン?!
アルバート・キングおたくのECは、わからなかったのか?もちろんわかったけど、アイディアとしては出なかったということでしょうか。

Sun Ra もPatti Smith もみんな出てきます。

Anthony Braxton なんて懐かしい名前も出てくるのですが、Frank Zappa, Captain Beefheart, Grateful Dead は出てこない。これは、アンソロジーだからたまたまかもしれませんが。

MC5は、出てきます。Purity Accuracy という2004年のボックス・セット(音悪し)を聞いた後では、Kick Out the Jams は、学芸会のように聞こえます。
というか、四文字言葉を連発して、それに対する歓声の入った本物ライブを聞いた後では、キック・アウトは、当然、ワード・コードの問題もあるでしょうが、偽ライブとしか思えんのですが、きっと勘違いでしょう。
by nk24mdwst | 2009-12-09 18:40 | 音楽の本


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