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in north ontario

カナダのオンタリオ州は広大で北の方は、何にもないところですが、トロントがあるのはオンタリオ州です。ミューチュアル・ファンドの手数料と売上税の課税の話です。
Wealth Manager-Mutual fund investors face Ontario tax bite

Tue Oct 27, 2009 1:33pm EDT

By John McCrank

TORONTO, Oct 27 (Reuters) - Ontario's mutual fund industry is fighting for changes in a new tax regime that it says unfairly targets its products, but government officials say the province's economic malaise leaves them with little room for compromise.
http://www.reuters.com/article/BROKER/idUSN2042667320091027?sp=true
カナダのいわゆる消費に対する大型間接税としては、連邦のGST5%、それと州の売上税PST、さらに、それを一体化させたHSTを用いている州があるということなのですが。

オンタリオ州の場合は、PSTの税率は、8%で、来年の7月からGST 5%とPST 8%を合算して、13%のHSTに移行することになりました。
双方で課税対象となっているものに関しては問題ないわけです。しかし、オンタリオ州における信託の手数料に関しては、GSTの課税対象、PSTは、非課税とされているわけです。
ここで、HSTにおいては、GSTで課税対象とされるものはすべて課税対象となるというシステムなので、従来非課税であった、信託手数料に関してHSTが課税されることになったという話です。

単に、税率を足し算しただけではなく、自動的に課税ベースが広がったということですね。徴税上の便宜からすればそうなるのだと思いますが、州の財政自主権はいずこです。

所得税や法人税、消費税、つまり直接税、間接税の如何を問わず、税率論だけが常に一人歩きしますが、課税ベースがどうなのかということに対する認識が必要だと思います。

カナダのこの例は、意図したのかどうかはともかく、HSTを導入することにより自動的に州税レベルにおいて課税ベースが広がったということですね。

10月29日補足

GSTは、goos and sales tax の略で、付加価値税です。
PSTは、 provincial sales tax の略で州(Province)売上税です。単段階のもので、物品の販売のほか、サービスの提供にも課税されます。
HSTは、上記の二者を統合したものです。

ミューチュアル・ファンドの手数料が州税としては、非課税だった理由は、おそらく、その手数料を支払うものが、上記の例の場合はオンタリオ州ですが、その州に在住しているとは限らないからだと思われます。
アメリカでアマゾンの通信販売に対する州売上税課税においても、使用者、利用者の所在地、あるいは、恒久的施設の所在地が問題になっているわけですね。
HSTを導入すると、申告納付は連邦にし、その後分配という形になるわけで、この分配システムがどのようになっているかは、検討課題ですね。まじめな意味で。
なぜなら、日本の消費税と呼ばれているものは、厳密には消費税及び地方消費税で、国に対して申告、納付(国が徴収)し、そのうち地方消費税分を分配するシステムになっているからです。

ケベック州のQSTは、付加価値税ですが、他のPSTはすべて、単段階の小売売上税タイプです。
理論的に一括徴収した付加価値税を国と地方とに分割するということに整合性を求めるのは非常に難しいかなと思います。
それから、日本の場合は、地方消費税の税率だけが別個に変更されうるということに留意が必要でしょう。それから、地方分権の観点からは、地方、例えば県ごとに、地方消費税の税率を変える(標準税率を地方税法で設定した上で)ということも、考え方としてはありうるのではないかと思います。
by nk24mdwst | 2009-10-28 18:51 | 租税法(日米以外)


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