Trade or business expenses

アメリカの内国歳入法典162条に規定する必要経費控除の規定の一部です。

Sec. 162. Trade or business expenses
TITLE 26, Subtitle A, CHAPTER 1, Subchapter B, PART VI, Sec. 162.
(a) In general
There shall be allowed as a deduction all the ordinary and necessary expenses paid or incurred during the taxable year in carrying on any trade or business, including -
(1) a reasonable allowance for salaries or other compensation for personal services actually rendered;
(2) traveling expenses (including amounts expended for meals and lodging other than amounts which are lavish or extravagant under the circumstances) while away from home in the pursuit of a trade or business; and
(3) rentals or other payments required to be made as a condition to the continued use or possession, for purposes of the trade or business, of property to which the taxpayer has not taken or is not taking title or in which he has no equity. For purposes of the preceding sentence, the place of residence of a Member of Congress (including any Delegate and Resident Commissioner) within the State, congressional district, or possession which he represents in Congress shall be considered his home, but amounts expended by such Members within each taxable year for living expenses shall not be deductible for income tax purposes in excess of $3,000. For purposes of paragraph (2), the taxpayer shall not be treated as being temporarily away from home during any period of employment if such period exceeds 1 year. The preceding sentence shall not apply to any Federal employee during any period for which such employee is certified by the Attorney General (or the designee thereof) as traveling on behalf of the United States in temporary duty status to investigate or prosecute, or provide support services for the investigation or prosecution of, a Federal crime.


さらに、162条は、(a)項以降(q)項まであるのですが、(a)項において先ず一般規定をおいているということです。

直訳風にすると
「課税年度において以下((a)~(q))に掲げるものを含め、何らかの業務又は事業を遂行する上で支払った又は負担した通常かつ必要な支出は控除することができる。」
という感じですね。

短いセンテンスですが、いくつも検討を要する用語、概念があります。

まず、deduction とはなにかということです。

内国歳入法典のこの規定は、個人、法人等を問わず、所得課税における所得計算に関する共通規定です。ですから、deduction は、日本の所得税法でいうところの必要経費とは違います。所得計算上のマイナス要因規定という意味では、法人税法に規定する損金に近いようにも見えます。しかし、アメリカの連邦所得税の所得計算では、社会保険料等を実額控除する場合にもこのdeduction という言葉を使いますから、いわゆる法人税法の損金と同一視することはできません。

アメリカは、確定決算主義をとらず、税法基準により法人所得課税が行われること等についてはいずれ検討しようと思います。

ordinary and necessary という概念ですが「通常かつ必要」と簡単に訳してよいのかと言う問題があります。そもそも何をもってordinary というのか。
John K. McNalty 教授の Federal Income Taxation of Individuals 7th Edition (In a Nutshell) には、ordinary について unordinary でないものなんて書いてあってトートロジーそのものです。
もちろん、この概念自体が非常に難しい概念であり、一定の行為がordianary であるかどうかが訴訟の争点になるということが多いわけです。
Case Book なんかには、さらに、extra-ordinaryはどうするなんて判例があったりするわけです。

いずれにしろ、この辺りの概念の解釈に関しては、後述の trade or business もそうですが、個々の事案において事実認定論として議論が行われています。すくなくとも、アメリカの租税法関係者の感覚では事実認定論という意識なのだと思います。
日本の場合のように、解釈論と事実認定論を切り分けしないのです。

さて、trade or business は、業務又は事業と捉えるしかないと考えているのですが、検討してみます。

普通の英語の辞書であるLongman Dictionary of Contemporary English は、trade について、
JOB/WORK[uncountable and coutable] a particular job, especially one needing special skill with your hand
としています。職業、特に技術を要するものという感じです。

Black's Law Dictionary においては、
craft, profession
なので、この延長です。

しかし、WGS&LのTax Dictionary は、trade について
an activity carried on by a taxpayer, with a reasonable degree of regularity, continuity, and profit motivation so as to qualify the activity for various tax benefit such as expense deduction under § 162, depreciation deduction under § 167, or cost recovery under § 168.
と記述しています。

こちらは、明快で納税者が行う行為(activity)で、一定の経常性、継続性、利益獲得意図を持つもの(regularity, continuity, and profit motivation)であり、ゆえに、IRCに定める必要経費、減価償却、修繕費等の控除の規定が適用されうることになるものだとしているわけです。
前段にいう、納税者が経常的、継続的に利益獲得目的で行う行為という部分は明快ですが、後段の、ゆえに、162条他のIRCの規定により初稿所が適用されうるものという部分は旬間論法になっています。

さらに、trade と businessについていえば、内国歳入法典は使い分けをしているが が、IRSないし判例は、特に両者に関して明確な概念的区別はしてないと記述しています。
そして一般的にtrade に関しては、医師等の職業専門家が行う行為を意味し、商品売買等をいうのではないとしています。同辞典によれば、
A Taxpayer need not hold himself or herself out as engaged in selling goods or seviceses to the public in order to be engaged in a trade or business.
としていますから、この部分を取引とするのは間違いでしょう。

いずれにしろ、何が trade or business かということ自体が問題、争点であり、それが争われている判例が少なからずあるということなのですね。

法に従って事実を認定する、全ては事実認定に帰着するという租税裁判所判事の言葉が想起されます。

いずれにしろ、アメリカの税法を学ぶときには、Nutshell や Blackletter シリーズは概略を理解するためにはよいのですが、底で書かれている一定の解釈については、それぞれ引用されているここの判例に当たって検討をする必要があります。
判例は全て、具体的な個別事案であり、底では適正手続によって蒐集された証拠、証言に基づき裁判官が法に従って事実認定をした結果が表れます。
*連邦地方裁判所における租税訴訟では、陪審制が用いられます。

それぞれの事実は、一般化できるものもあれば、そうでないものもあるわけで、そこまで読み取る必要があるわけです。

アメリカは判例法の国といわれますが、連邦最高裁の判例にIRSは拘束されるかという問題もあるのですが、それもいずれ検討することにします。
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by nk24mdwst | 2008-02-01 12:34


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