Oliver Wendell Holmes, Jr.

ワシントンD.C.のIRS本庁舎の外壁には。次のような言葉が刻まれています。
"Taxes are what we pay for civilized society."-Oliver Wendell Holmes, Jr. Compania de Tabacos v. Collector, 275 U. S. 87, 1000(1904)


これが、金子宏『租税法第11版』(弘文堂)18ページにある
「ホームズ裁判官の『租税は文明の対価(price of civilization)である』という言葉」
のもとですね。

オリヴァー・ウェンデル・ホームズ二世最高裁判事は、19世紀末から20世紀はじめにかけて合衆国連邦最高裁で重要な判決にいくつも関わっています。ホームズ判事は、the Civil War(いわゆる南北戦争)の後、西部開拓とネイティヴ・アメリカン・ジェノサイドとに並行して起こるアメリカの産業革命期において非常に重要な役割を果たした法律家という位置づけが一般になされています。

金子氏がそれを知っているかどうかは別にして、この時期にアメリカにおける資本主義の原型が形作られるわけです。
いわゆる独立戦争(American Revolution)は、本質的には、イギリスからアメリカからやってきてヴァージニアその他の東部、東南部諸州において土着化したアメリカ民族資本とイギリスの本土資本=具体的には東インド会社=との争いだったわけです。この最初の戦いにおいては、アメリカ土着資本が一応勝利を収めた。

*ボストン・ティー・パーティーで投げ捨てられた紅茶は、東インド会社が当時イギリスの植民地というよりは、東インド会社が支配していたインドで生産し、売れ残ったものだったわけです。本来、関税がかけられるべきところを、東インド会社がイギリスの国王に頼んで無税になるようにしたので、現地の業者が怒ったというわけです。

南北戦争は、奴隷解放という面から見るのではなく、二度目のイギリス資本対アメリカ民族資本=北部対南部の争いであったわけで、今回はイギリス資本が勝利します。このときまでに、東インド会社は全ての権益を取り上げられ消滅していたわけですけど。

イギリス資本が、例えば、J.P.Morgan商会(モルガン・スタンレーのもと)が資金繰りをして大陸横断鉄道をつくるというわけですね。Butch Cassidy & Sundance Kid(明日に向かって撃て)が狙った金は、Halliman Brothersの金だったわけで、そりゃ、モルガンさんの金をかっぱらえば、地の果てまで追われます。
彼らの末期は、ボリビアの銅山だったかと記憶してますが、かの銅山を経営していたのも同じ資本ですからね。

素晴らしく脇道にそれてしまいました。金子訳のprice of civilization というのはもとの判決の原文にあるのでしょうかね。確認してみないと。

ホームズ判事の言葉は、「諸税は、われらが文明社会を維持するために必要たるものなり」という感じでしょうかね。
19世紀末にアメリカは、連邦所得税を導入したのですが、合衆国連邦最高裁は、関税その他の税以外の税を合衆国が、第一義的には州民である市民に課すことは連邦憲法違反であるとして違憲判決を出しました。それを受け、連邦議会は、連邦憲法を改正して、連邦所得税導入への道を作ったのです。
その意味で、taxes を単に租税とやってしまっては、つまらない。

合衆国市民が納める諸税は、彼らの文明社会を維持するために使われる・・・この論理は、その後の合衆国の戦争の全てを合理化する論理に通じます。

ラテン語はできないので英語ですが、
"Where there is an income tax, the just man will pay more and the unjust less on the same amount of income."-Plato, The Republic, bk K, 343-D
というのがあります。

プラトンは大人ですね。「所得税あるところにおきては、所得が同じであるなら、正直者がそうでないものより多くを負担することになろう。」というわけです。私見を少し入れさせていただくと、正直者は、わかっていても喜んで余計に支払い、嘘つきは、これも意図して税金を誤魔化す、それもまたむべなるかな、あたりですか。

今日は、Lowell George とFZの話にするつもりが・・・
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by nk24mdwst | 2008-01-18 14:58 | 租税法(アメリカ)


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