potato chips saga

消費税のような附加価値税を導入した場合において、日本のように基本的にすべての資産の譲渡等を単一税率で課税し、例外的に非課税、ないし、免税規定を設けている国は、例外というべきです。
ですから、税率は、欧州諸国のように二桁ではありませんが、消費税収自体は、ドイツのそれを上回るというようなことがおきるわけです。

ところで、附加価値税の税率を二桁にしたとき、その逆進性が問題になるので、生活必需品、例えば食料品等に対して、免税ないし軽減税率といって通常の税率よりも低い税率を課す国が多いわけです。

イギリスは、EU加盟のために附加価値税を入れたわけですが、免税ないし非課税とする取引が多くて、あんなものは附加価値税ではないという税法学者もいるくらいです。水野忠恒先生だったと記憶いたしております。

ところで、イギリスでVATに対する訴訟が決着しました。争点はポテト・チップスとプリングルズの違い。
The Lord Justice Hath Ruled: Pringles Are Potato Chips

By ADAM COHEN
Published: May 31, 2009

Britain’s Supreme Court of Judicature has answered a question that has long puzzled late-night dorm-room snackers: What, exactly, is a Pringle? With citations ranging from Baroness Hale of Richmond to Oliver Wendell Holmes, Lord Justice Robin Jacob concluded that, legally, it is a potato chip.

The decision is bad news for Procter & Gamble U.K., which now owes $160 million in taxes. It is good news for Her Majesty’s Revenue and Customs — and for fans of no-nonsense legal opinions. It is also a reminder, as conservatives begin attacking Judge Sonia Sotomayor for not being a “strict constructionist,” of the pointlessness of labels like that.

In Britain, most foods are exempt from the value-added tax, but potato chips — known as crisps — and “similar products made from the potato, or from potato flour,” are taxable. Procter & Gamble, in what could be considered a plea for strict construction, argued that Pringles — which are about 40 percent potato flour, but also contain corn, rice and wheat — should not be considered potato chips or “similar products.” Rather, they are “savory snacks.”
http://www.nytimes.com/2009/06/01/opinion/01mon4.html
プロクター&ギャンブルのプリングルズは、VATの課税上、どう取り扱われるべきかということです。

イギリスでは、基本的に食料品はVAT免税となっています。書籍と同じですね。ただ、例外として、ポテト・チップスは、スナックだから課税とされているのです。

ここで、プリングルズが登場します。P&Gによると、ジャガイモ粉が40%含まれているが、トウモロコシ、米その他の穀類も原料となっているので、ポテト・チップスではない。ゆえに、VATは課税されないと主張していたわけです。

一審の The VAT and Duties Tribunal (VAT及び関税に関する行政裁判所ですね。)においては、課税庁の主張を認め、プリングルズはポテト・チップスだとしました。

イギリスでは、VAT及び関税は、他の所得税等を所管するInland Revenue とは別の部門が所轄していたのですが、現在はHer Majesty's Revenue and Customs (HMRC)が所轄してます。租税行政裁判所も現在は一体化されているはずですね。

控訴審では、プリングルズはポテト・チップスではないと逆転したのですが、最高裁は、ポテト・チップスだという結論に至ったというわけです。

ニューヨーク・タイムズは、ロー・スクール一年生の議論のようだったと茶化していますが、当事者にとっては死活問題ですね。

複数税率を設けたときには、必ず、食料品とは何かとか、衣料品とは何かなんて問題がでます。
その意味で、単一税率というのは無用な議論を避ける意味では優れていることを、私は認めます。逆進性論は残りますけどね。

この事案の判決文もネットで落とせそうです。
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by nk24mdwst | 2009-06-02 17:01 | 租税法(日米以外)


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