春めいた日も、そろそろ終わり、週末は氷点下・・・と予報はいっていますが。
雲行きは、どこも暗いです。 附則と法律では書いているのに、新聞は付則ですね。附は、常用漢字じゃないのかな。 寄付金と寄附金の両方が税法でも用いられています。所得税法では、寄付金(寄付金控除)、法人税法では、寄附金(寄附金の損金算入制限)です。 税法や会計では通常、売上、仕入という具合で「れ」をおくりません。しかし、消費税法では課税売上げ、課税仕入れ、というように「れ」をおくります。 さて、現下の不測の事態となっている附則問題について(新聞の表記にこだわらないことにします。)の報道です。神戸新聞に詳報がありました。 税制法案付則などの要旨並べてあるので親切ですね。 附則案の「遅滞なく段階的に消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、2011年度までに必要な法制上の措置を講ずる。」と中期プログラム「消費税を含む税制抜本改革を11年度より実施できるよう、必要な法制上の措置をあらかじめ講じ、10年代半ばまでに段階的に行って」とではどう違うか。 それと、附則案で新たに設けられた、「改革を具体的に実施するための施行期日等を法制上定めるに当たっては・・・」という文言をどう評価するか。 結論は、何も変わっていないということでしょうね。 景気の回復云々は枕詞で、景気回復したと政府が判断したことにすればおしまいです。 追加の、一項目は、少し譲っているように見えますが、かつての消費税増税のときに税率引き上げの判断に関して条件が付加されていましたが、そのような条文を織り込むということになるのかもしれません。 ただ、これも、景気回復を条件として云々というような表現であろうと思われ、結局、無意味です。 附則案でも、11年度までに法制上の措置を講ずる、つまり立法するといっているわけで、11年度の開始日である2011年4月1日からの消費税率引上げをやれないということにはなりません。 遡及効の問題がありますが、11年度途中の税率改定だって可能です。 何度も繰り返しますが、消費税の税率引上げだけに目を奪われてはいけないということで、これは、平成11年度までに消費税を期間税とする所得税、法人税等を含む抜本的な税制改革法案を通すと明言しているわけです。 問題は、その抜本的税制改革については、この数日見てきたように方向性は見て取れるのですが、国民的な議論として明確な形では、全く行われていないことが最大の問題です。 それと、これらの路線自体は、コイズミ改革路線を踏襲しているのですが、未曾有の金融経済危機が将来している以上、現下の経済危機にどう対処するかという議論をしなければならないのに、つまり、今、借金が増え続けているのに、3年先の返済計画を云々することの無意味さに、なぜ、誰も何も言わないのか。 この国の知性はどうなっているのか、です。 官僚の天下り問題の是非についてももめていました。この問題自体の是非以前に、法制呈上の作法として、国会が制定する法律が幹、枝葉として閣議決定される政令が存在する構造です。 幹が定めたことと違うことを枝葉である政令が定めるのは作法に反するというか、法律の体をなしていないということを日本中の行政法学者や、司法関係者はなぜ言わないのでしょうか。 官僚システムの暴走が始まっていて、これは、おそらく70年前と同じなのじゃないかと思います。 FDRは、1933年に大統領に就任しました。彼の最大の失敗は、最初の任期における施策がどの程度成功したかどうかということよりも、1937年、二期目にはいって引締め政策に転じたことです。 これを脱するためにどうしても戦争が必要だったわけです。 アメリカも日本も70年前と同じような状況にあるように思えます。 昨日の晩は、Clarence White を聞いてました。Kentuckey Colonels のクレジットになっているものです。アルバム3枚聞いてしまいました。 18歳から19歳だったことを考えると驚きます。 技術そのものもありますが、スタイルが既に完成されつつあります。従来のブルー・グラス・ギターの伝統を学び、その先に新たな自分のスタイルを構築しつつあったということです。 Doc Watson、Tut Taylor などととやっているものもあります。 The Kentucky Colonels featuring Roland and Clarence White、Long Journey Home、Livin' In the Pastまで聞いていて、これはいかん眠らないとと思いました。 今日は、On Stage、The Kentucky Colonels with Scotty Stoneman: Live in L.Aというあたりですかね。 ブルー・グラスとかブルースは、ワーキング・クラスの音楽だと思うのですが、東海岸のメイン集出身で父親がバーバンクのロッキードに勤務するようになってカリフォルニアへやってきたホワイト兄弟は、サザン・ブルー・カラーではありません。 さて、アメリカに目を転じると、議会が前政権の銀行救済策と税金について厳しい指摘をしています。 Lawmakers Move to End Tax Break on Bank Dealsこれは、難しい問題です。 不良債権を抱えた銀行を買収した別の銀行に対して税制上の優遇措置を与えるべきか否か。 クルーグマンは相変わらずです。 January 22, 2009, 8:55 am市場主義万能主義者のバローを批判しています。 バローは、第二次大戦とアメリカの景気回復に関してクルーグマンと正反対の見解を取っています。 Government Spending Is No Free Lunch1980年代の初め、サプライ・サイド的な視点を持つ経済学者に対してヴードゥー・エコノミクスだという批判があったと前置きした上で、今のアメリカの新政権がやろうとしていること自体が、まあ、ケインジアン的なアプローチですが、これこそヴードゥー・エコノミクスだと反撃しているわけです。 いわゆる乗数効果を問題にしていて、政府の公共支出の乗数が果たして政府が言うような1.5であるのかどうかという議論を展開しています。 しかし、経済学素人の私でも、初めて英語で見た言葉の日本語訳がわかってしまうというのは、日本の経済学のレベルの高さを表しているのでしょうか。 乗数効果なんてものを持ち出すから、どちらの側に立とうと、仮定の話だろってなるのです。半世紀経ってからの統計の検討で結果が出るか。 これについても、第二次大戦の経済効果についての見解がそのよって立つ理論の違いで正反対なので何を信じればいいのか、素人には何もわかりません。 減税、政府の財政支出は、それぞれ乗数効果があるのだと思います。ある一定の条件の下においては、ある一定の乗数が適切なのだろうということが推測ができます。 どのような減税をするかによって減税の乗数効果は違うはずですよね。そして、どのような減税を行うかという前に、その税制がどのような構造を持っているかによって結果も異なるというわけです。 財政支出に関しても、どこにいつどのように行うかで異なるわけでしょう。 近年、減税の乗数効果が薄れたと一般にいわれているようですが、それは、減税のもととなる税制構造自体が従来とは異なった、あるいは、典型的な納税者像が変わってしまったということをどう考慮するかですね。 逃げ足の速い所得、国際課税、タックス・ヘイブンやタックス・シェルターの跋扈がかなり大きな影響を及ぼしているはずで、それらに対する課税を半分諦めているのでしょうか。 財政学者と公共経済学者はどこがどう違うのかは、わかりません。財政学者というのは、日々、企業の財務諸表がどのように形成されているのかということを知っているのでしょうか。 具体的な話にします。 世界的に所得税に対する累進課税、あるいは、法人課税に関しては累進度の緩和、税率の引下げが競争的に既に行われて着ているわけです。 ここからさらに減税するとすれば、負の所得税、つまり給付金的な税額控除を導入する、あるいは、企業の投資意欲を促進するための加速償却ないし税額控除制度を導入するということなのでしょうね。 しかし、最大の問題は、アメリカの過剰借入れに基づく過剰消費体質に依存する世界経済システムが破綻した結果が現在の経済状況であると理解したときに、税制がどのようにこれを克服する手段たりえるのかという問題がでるわけです。 アメリカの企業、国民にさらに借金をして消費をするように誘導するのでしょうか? 過剰な設備投資と人員を世界中の企業が抱えてしまっている状況は、時間によって、つまり、それなりのコストを伴って適正規模になるのを待つしかないのでしょう。 ところで、消費税をどう考えるかです。付加価値税としての消費税という虚構を信じ、100%の転嫁が可能であるなどという前提を置くことはできないわけです。 このような状況で、税率引上げを行うことは、おそらく滞納の増加、経済活動に大きな打撃を与えるだけです。 社会保険料もそうですが、消費税は課税売上げ×消費税率-課税仕入れ×消費税率という計算により納付消費税額が算出されます。付加価値税は、全てそうです。 ところで、企業の利益(所得)は、売上ー仕入(必要経費)と単純化できますが、ここで問題となるのは、売上はともかく仕入(必要経費)が全て課税仕入れになるわけではないことです。 仕入(必要経費)と課税仕入れとの差異は、人件費、減価償却費、地代、利子により生じます。人件費等は課税仕入れにならないわけです。 ですから、消費税は、企業の利益(わずかです。)に人件費(これが最大)を加えたものに税率をかけたものを収めなければならない構造となっているわけです。 結論とすれば、人件費が消費税のような付加価値税の課税標準だということになります。 つまり、消費税のような付加価値税の税率を上げることは企業が、税額を完全転嫁できるという幻想を捨ててしまうと、人件費に対して課税される税額が増えるということに他ならないということになります。消費税の引上げは、企業にとっては人件費抑制要因になるわけです。つまり、雇用抑制要因になる。 そうすると、現下のようなデフレ状況下において、消費税を消費者に転嫁することが困難であるにもかかわらず、その税率を引き上げるということは、更なる雇用抑制がおこる岳だということです。言葉を変えると失業率が拡大し、結果として消費が抑制され、需要が不足し、いつまでたっても景気はよくならないということになります。 さらに、閣議決定や、附則案が言うように仮に景気が好転の兆しを見せたときに消費税率の引上げを行うことは、余程慎重に行わないと、景気を腰折れさせます。これは、既に日本においては経験済みのことなのです。 現在の日本は、低所得者に対する課税強化が既に行われ、医療保険制度における負担増、給付抑制という制度改革が進行中です。ですから、消費性向が強いというか貯蓄できないだけですが、低所得層に対する減税、要するに課税最低限の引下げが必要だと思います。 それと、財源以上の美名のもとに行われた地方税の一律課税の形をとった低所得者増税を何とか元のような所得再配分機能を持たす形に変えないといけないのではないかと思います。 そして、雇用抑制要因である消費税を引き上げるのではなく、引き下げるという方法をとることがおそらく相当効果があるのではないかと思います。 日本の消費税は、二桁税率が並ぶ欧州諸国とは全く異なり、非課税、免税(ゼロ税率)をほとんど有しない制度なので、税率を1%引き下げるだけでも大きな効果があるかと思います。 歳入欠陥をどうするのだって話にはなるでしょう。でも、金の卵を産むガチョウを殺しては、二度と金の卵は産まれません。 特定の企業の利益に資することが明白な下らない研究開発促進税制なんか止めないと駄目です。
by nk24mdwst
| 2009-01-23 13:31
| その他
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